講演情報

[P17-10]がん遺伝子パネル検査に伴うAssumed Germ line findingsに対する当事者の反応について

進士 明宏 (諏訪赤十字病院 腫瘍内科)
【緒言】当院では2020年6月からがん遺伝子パネル検査を行ってきたが、同検査によるAssumed Germ line findingsに対する遺伝カウンセリングの重要性は異論がないところである。【目的】当院で実施したがん遺伝子パネル検査におけるAssumed Germ line findings症例の実情について検討すること【方法】2020年6月から2022年6月に当院で行ったがん遺伝子パネル検査を施行した患者について電子カルテを用い後方視的に検討した。【成績】延べ98件出件したが、複数のパネル検査提出した場合の重複、検査未成立を除く95例を検討した。うち、Assumed Germ line findingsを認めたのは13例(13.7%)であった。内訳はBRCA1 4例、BRCA2 5例、MSH2,6 1例、CDKN2A 2例、RAD51D1例。全例に検査結果開示時に臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行った。その後4例については遺伝学的検査を実施し、3例についてはGerm line mutationが確定した。遺伝学的検査を行うと決断した時期は、パネル検査結果開示日から平均95日(範囲0日~345日)であった。未検査例のうち1例は、がん遺伝子パネル検査実施前にコンパニオン診断目的で遺伝学的検査を既に実施していた。また別の2例については、親子例で同一のバリアントであることからGerm line mutationであると判断した。確定例で血縁者への検査実施まで至った例は本検討までではなかった。なお、結果開示時に家族同伴の有無と遺伝学的検査の実施の有無の関係も調べたが、同伴ありで確認検査あり2名、なし7名、同伴なしで確認検査あり2名、なしで1名と明確な傾向は見られなかった。遺伝学的検査を行わない理由としては、現在のがん治療に専念したいという理由が全例で患者から発せられた。【結論】がん遺伝子パネル検査におけるassumed Germ line findingsは患者にとって治療に直結しない場合、がん治療が心理面で優先されるため継続的に遺伝カウンセリングを行うことが肝要と思われた。