講演情報
[P17-12]がん遺伝子パネル検査後に行ったMGPTでリンチ症候群と診断された副腎皮質癌の症例
○藤田 裕子1, 甲斐 恭平1, 平沢 晃1,3, 山本 英喜1,3, 原口 貴裕2, 和仁 洋治1, 永谷 たみ1, 谷口 真紀4, 伊藤 絢子1, 山根 美代子1, 井上 豊子1, 田村 和朗1,5,6 (1.姫路赤十字病院 遺伝診療部, 2.姫路赤十字病院 泌尿器科, 3.岡山大学病院 臨床遺伝子診療科, 4.島根県立中央病院, 5.桜橋渡辺病院 遺伝子診療センター, 6.近畿大学大学院 総合理工学研究科)
リンチ症候群の関連癌として大腸癌、子宮内膜癌、卵巣癌などが報告されている。今回、がん遺伝子パネル検査後に実施したMGPTでリンチ症候群と診断された副腎皮質癌の症例を経験した。
患者は60代男性、副腎皮質癌の治療中であり平滑筋肉腫既往歴があった。血縁者に大腸癌、舌癌、脳腫瘍などの罹患歴がある。副腎皮質癌の治療薬検索のためFoudationOneCDxを実施しMSI-High、TMB 38Muts/Mb、TP53 c.743G>A(アレル頻度90.3%)と報告された。本人の既往歴とTP53バリアントからリー・フラウメニ症候群、かつMSI-Highからリンチ症候群が考慮されMGPTを提案した。結果、MSH2 c.942+3A>Tが検出された。本バリアントはFoudationOneCDxで報告されなかったバリアントのためFMI社へ確認した。同バリアントは検出されたが報告対象ではなかったとの回答があり、その後MSH2splice site 942+3A>Tと修正報告がなされた。
本バリアントはリンチ症候群のうちMuir-Torre症候群が高頻度であると報告されているが、本症例では皮脂腺腫瘍は認めなかった。Raymondらの報告では副腎皮質癌のうち3.2%がMMR遺伝子病的バリアントを有し、本症例と同バリアント症例を認めた。Challisらは2世代にわたり副腎皮質癌に罹患したMSH2バリアントを持つ家系を報告した。Carvalhoらはリンチ症候群に発生した肉腫のレビューを行い、うちMSH2バリアントを持つものが58.1%であったと報告した。
副腎皮質癌はリンチ症候群の関連癌とされていないが、家系内での罹患状況から検討する必要があるのではないか。またがん遺伝子パネル検査と遺伝学的検査は目的が異なり、別の解析パイプラインを使用する。本症例のようにがん遺伝子パネル検査でMMR遺伝子が検出されなくともMSI-highの場合はリンチ症候群を念頭におく必要がある。遺伝診療ではがん遺伝子パネル検査で検出された遺伝子だけでなく、家族歴や既往歴、臨床所見を含めて総合的に十分な検討が必要である。
患者は60代男性、副腎皮質癌の治療中であり平滑筋肉腫既往歴があった。血縁者に大腸癌、舌癌、脳腫瘍などの罹患歴がある。副腎皮質癌の治療薬検索のためFoudationOneCDxを実施しMSI-High、TMB 38Muts/Mb、TP53 c.743G>A(アレル頻度90.3%)と報告された。本人の既往歴とTP53バリアントからリー・フラウメニ症候群、かつMSI-Highからリンチ症候群が考慮されMGPTを提案した。結果、MSH2 c.942+3A>Tが検出された。本バリアントはFoudationOneCDxで報告されなかったバリアントのためFMI社へ確認した。同バリアントは検出されたが報告対象ではなかったとの回答があり、その後MSH2splice site 942+3A>Tと修正報告がなされた。
本バリアントはリンチ症候群のうちMuir-Torre症候群が高頻度であると報告されているが、本症例では皮脂腺腫瘍は認めなかった。Raymondらの報告では副腎皮質癌のうち3.2%がMMR遺伝子病的バリアントを有し、本症例と同バリアント症例を認めた。Challisらは2世代にわたり副腎皮質癌に罹患したMSH2バリアントを持つ家系を報告した。Carvalhoらはリンチ症候群に発生した肉腫のレビューを行い、うちMSH2バリアントを持つものが58.1%であったと報告した。
副腎皮質癌はリンチ症候群の関連癌とされていないが、家系内での罹患状況から検討する必要があるのではないか。またがん遺伝子パネル検査と遺伝学的検査は目的が異なり、別の解析パイプラインを使用する。本症例のようにがん遺伝子パネル検査でMMR遺伝子が検出されなくともMSI-highの場合はリンチ症候群を念頭におく必要がある。遺伝診療ではがん遺伝子パネル検査で検出された遺伝子だけでなく、家族歴や既往歴、臨床所見を含めて総合的に十分な検討が必要である。