講演情報

[P17-4]鳥取大学医学部附属病院での遺伝性腫瘍の遺伝カウンセリングの現状

青木 智彩子1, 岡崎 哲也1, 笠城 典子1,2, 難波 栄二1,3, 前垣 義弘1,4 (1.鳥取大学医学部附属病院 遺伝子診療科, 2.鳥取大学医学部 保健学科 看護学専攻, 3.鳥取大学 研究推進機構 研究戦略室, 4.鳥取大学 医学部 脳神経小児科)
【目的】当院の遺伝性腫瘍に関連する遺伝カウンセリング(GC)の状況を把握し課題を見出すことを目的とした
【方法】2017年4月から2022年5月末日の遺伝カウンセリング件数・来談者数・遺伝学的検査実施数・病的バリアント検出数を抽出した
【結果】GC来談者と件数は計340例644件であり2017年度30例39件、2018年度39例79件、2019年度56例108件、2020年度124例233件、2021年度81例164件、2022年11例23件であった。来談目的の内訳はオラパリブのコンパニオン診断141例277件(43.0%)、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診断が154例270件(41.9%)であった。その他45例83件(12.9%)はリンチ症候群(LS)、リ・フラウメニ症候群(LFS)、多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)、結節性硬化症(TSC)、多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)、フォン・ヒッペルリンドウ病(VHL)、PALB2関連がん、CHEK2関連がん、副甲状腺機能亢進症顎腫瘍症候群、家族性大腸ポリポーシス、網膜芽細胞腫のGCであった。遺伝学的検査は276例実施しており、BRCA遺伝子23例、VHL2例、LS、MEN1、PALB2、TSC、NF1、PTEN過誤腫症候群で各1例の病的バリアントは計32例検出された。HBOC診断検査113例のうち17例は自費診療で実施しており8例にBRCA病的バリアントが検出されていた。がん遺伝子パネル検査結果に関連したGCは6例10件であった。生殖細胞系列多遺伝子パネル検査は2件実施した
【考察】オラパリブのコンパニオン診断およびBRCA遺伝子検査の保険検査適応により2017年以降徐々にGC来談者数・実施件数が増加傾向である。2021年度の件数が少ない理由は、COVID-19の感染拡大やHBOC検査対象者の減少が挙げられる。HBOC診断に関連した来談が多く、その他の遺伝性腫瘍に関連したGCの実施が十分とはいえないことが示唆された。HBOC以外の遺伝性腫瘍も各診療科との多職種による連携体制の構築が課題であると考える