講演情報
[P18-1]全ゲノム/全エクソーム解析を受検した先天性疾患をもつ子供の親の感情に関する文献的考察
○竹内 美栄子1, 北村 裕梨2,3, 渡辺 基子2, 阿部 歩美2, 井坂 美帆2, 後藤 景子2, 新井 正美2 (1.順天堂大学大学院 医科学コース 臨床遺伝学(遺伝カウンセリング)学位プログラム, 2.順天堂大学大学院医学研究科 臨床遺伝学, 3.順天堂大学医学部附属順天堂医院 小児科)
【背景】小児領域における網羅的遺伝学的検査は、診断技術の向上により診療の中に急速に用いられるようになっているが、これを受けた患児を持つ親の感情に関する報告は少ない。
【目的】全ゲノム解析(WGS)や全エクソーム解析(WES)による網羅的遺伝学的検査を受検した患児の親が、検査に対して持つ感情を明らかにする。
【方法】PubMedを用い、「genetic counseling」「exome or genome sequencing」「parent」「pediatrics」のキーワードで2017~2022年に発行され、全文入手可能な原著論文を抽出し、研究目的に合致しないものを除外した。
【結果】文献検索で98本の原著論文を抽出し、最終的に6本を採択した。これに加え、それらの引用文献と被引用文献から研究目的を基に選抜した4本を加えた10本を本研究の対象とした。この中で120人の患児の親へのインタビュー調査、680人の親への質問紙による調査が行われていた。WGS/WESの結果が陽性で確定診断がついた児の親は全体の約40%であり、より満足しているが心理的インパクトは大きく、診断が希少疾患であった場合は情報量が少ないことに対する不安が報告された。また、検査結果が陰性であった児の親は約40%で、陽性の親と比較すると、検査への失望を感じていた。検査結果が不確かで診断がつかなかった児の親は約20%で、陰性の場合と同様に失望を感じる親が報告され、検査結果を誤って解釈している例も見られた。しかし、ほとんどの文献において検査結果に関わらず、多くの親はWGS/WES受検を前向きに捉えており、受検を後悔していなかった。
【考察】WGS/WESを受検する患児の親は、検査を前向きに捉え、多くの情報入手を期待している一方で、検査前カウンセリングや結果開示時の正確な情報伝達、診断がつかなかった親に対する心理的ケアに着目する必要があると考えられた。
【目的】全ゲノム解析(WGS)や全エクソーム解析(WES)による網羅的遺伝学的検査を受検した患児の親が、検査に対して持つ感情を明らかにする。
【方法】PubMedを用い、「genetic counseling」「exome or genome sequencing」「parent」「pediatrics」のキーワードで2017~2022年に発行され、全文入手可能な原著論文を抽出し、研究目的に合致しないものを除外した。
【結果】文献検索で98本の原著論文を抽出し、最終的に6本を採択した。これに加え、それらの引用文献と被引用文献から研究目的を基に選抜した4本を加えた10本を本研究の対象とした。この中で120人の患児の親へのインタビュー調査、680人の親への質問紙による調査が行われていた。WGS/WESの結果が陽性で確定診断がついた児の親は全体の約40%であり、より満足しているが心理的インパクトは大きく、診断が希少疾患であった場合は情報量が少ないことに対する不安が報告された。また、検査結果が陰性であった児の親は約40%で、陽性の親と比較すると、検査への失望を感じていた。検査結果が不確かで診断がつかなかった児の親は約20%で、陰性の場合と同様に失望を感じる親が報告され、検査結果を誤って解釈している例も見られた。しかし、ほとんどの文献において検査結果に関わらず、多くの親はWGS/WES受検を前向きに捉えており、受検を後悔していなかった。
【考察】WGS/WESを受検する患児の親は、検査を前向きに捉え、多くの情報入手を期待している一方で、検査前カウンセリングや結果開示時の正確な情報伝達、診断がつかなかった親に対する心理的ケアに着目する必要があると考えられた。