講演情報
[P18-10]BRACAnalysisにおいてvariant of unknown significance (VUS)の結果時にどう対応するか?
○宮本 健志, 佐藤 響子, 柳田 康弘 (群馬県立がんセンター 遺伝診療科)
【はじめに】BRACAnalysis(BA)でVariant of Uncertain Significance(VUS)の場合の我々の対応を報告する。【背景】BAは本邦で唯一のBRCA1/2検査で、アノテーションのdata baseが独自で非公開である(PDB)。一方、自由診療の検査やCancer Gene Panelでのアノテーションは多くは公開data base(ODB)に基づいている。2つの基準で保険非保険制度に跨った診療が行われている。【当院での対応】BAでVUSの場合、受検者の遺伝カウンセリング(GC)受診を必須とする。GCではODBに基づいた解釈を加え追加評価し、ODBにないバリアントやinconclusiveでは他社での再検査を提示する。また、VUSの解釈変更時には再度連絡することと、本人以外に開示可能な者を確認しておく。【結果】BAでVUS、ODBで病的バリアントの解釈となる場合、十分なインフォームドコンセントと、倫理審査の下でリスク低減手術を実施した症例もある。のちに解釈が変更決定された場合は、本人へ連絡し、必要に応じ再度GCを行った。本人死亡時は、予め設定してある結果開示者に連絡し、伝達した。ただ、多くの症例はVUSのままである。【考察】生涯不変である生殖細胞系バリアントにアノテーションを与えることは非常に重い役目である。BAではその根拠がPDBで藪の中であることには一抹の不安を感じえない。JOHBOCがBRCA遺伝子のDB作成を進めているが、BAの寡占状態になると、多方面からのバリアント評価が困難と考えられる。適正な意味づけ可能な体制構築が望まれ、それには、複数の会社での検査実施体制を整える必要がある。また、海外に日本人の遺伝子データを流出させる現状を踏まえると、国内完結型の組織での実施を優先させることも重要である。【まとめ】BAでのVUSに対する当院の対応を報告するとともに、VUSを減らし、適切なアノテーションを与えられる環境づくりの重要性について言及した。我々の対応をお伝えしたが、よりよい方法があればお教えいただきたい。