講演情報
[P18-7]神戸市立神戸アイセンター病院における遺伝カウンセリング外来の推移:後方視的研究
○吉田 晶子1,2,3, 河合 加奈子1, 浦川 優作1,4, 稲葉 慧1,3, 横田 聡1,5, 平見 恭彦1,5, 高橋 政代1, 栗本 康夫1,5, 前田 亜希子1 (1.神戸市立神戸アイセンター病院, 2.京都大学大学院医学研究科 ゲノム医療学, 3.京都大学医学部附属病院 遺伝子診療部, 4.神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科, 5.神戸市立医療センター中央市民病院 眼科)
【目的】当院では、2017年12月の開院時より、遺伝カウンセリング外来を設置している。また、以前より遺伝性網膜ジストロフィに対し、研究での遺伝子解析を実施しており、希望者には情報提供を行っている。眼科領域の遺伝カウンセリングにおけるクライエントのニーズや特徴を検討する基礎データとすることを目的に、当院における遺伝カウンセリングの外来推移を後方視的に検討した。【方法】開院時から2022年4月までに遺伝カウンセリング外来へ来談したクライエントを対象とした。年齢、性別、病歴等の情報に対して記述統計を行うとともに、遺伝子解析実施もしくは保留の理由等についてはテーマ分析を行った。【結果】初診・再診で計1690例、ほぼ全例が遺伝性網膜ジストロフィであった。患者の初診は計912例(男性425名、女性487名、平均年齢51.7±16.2歳)、年間200例以上となっていた。初診もしくは再診にて、計797例で遺伝子解析を実施した。初診で遺伝子解析を保留した148例のうち33例は再診で解析を実施、6例は再診後も保留であった。遺伝子解析実施から半年後以降の結果開示時の再診は642例となった。遺伝子解析の希望理由として、予後や治療法についての情報や原因遺伝子を知りたい、遺伝が心配といった思いがある一方、保留の理由として血縁者のリスクが明確になる不安や、結婚前であること、家族への配慮などが見られた。結果開示後にも、子どもへの遺伝の説明や、結果の再説明のニーズがあった。【考察】開院以降、外来数は一定を保っており、遺伝カウンセリングや遺伝子解析に十分なニーズがあることが示された。また、初診から遺伝子解析実施後まで継続した支援が求められていた。今後、遺伝性網膜ジストロフィの遺伝子診断の臨床応用が見込まれるなか、遺伝カウンセリングが同時に提供されることが、クライエントと家族の支援に役立つ可能性が示唆された。