講演情報

[P2-1]肥満関連要因を用いた肥満のクラスタリングとゲノムワイド関連解析による肥満の遺伝的構造の解明

高橋 一平1, 上野 史彦1,2, 大沼 ともみ1,2, 大瀬戸 恒志1, 成田 暁1,2, 野田 あおい1,2,3, 松崎 芙実子1,2, 村上 慶子1,2, 石黒 真美1,2, 小原 拓1,2,3, 寳澤 篤1,2, 田宮 元1,2,4, 菅原 準一1,2, 栗山 進一1,2,5 (1.東北大学大学院 医学系研究科, 2.東北大学 東北メディカル・メガバンク機構, 3.東北大学病院 薬剤部, 4.理化学研究所 革新知能統合研究センター, 5.東北大学 災害科学国際研究所)
【背景・目的】これまで100を超える肥満感受性領域が報告されている。しかしながら、これら100を超えるすべての遺伝子領域における変異が肥満に必要であるのか、あるいは、肥満はヘテロジニアスな集団の集合体であり、1つあるいは数個の遺伝子変異によって引き起こされるのかは不明である。本研究の目的は、肥満を肥満関連要因を用いてクラスターに分け、クラスターごとにゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施することで、肥満の遺伝的構造を解明することである。
【方法】東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査と三世代コホート調査の参加者を対象にして2つのステップで解析を実施した。Step-1として、解析対象者49,004人全体を対象としてBody Mass Index(BMI)をアウトカムとしたGWASを実施した。Step-2として、BMIが25kg/m2以上の13,299人を先行研究から肥満との関連が示唆されている食事や運動、年齢などの変数を使用したDeep Embedded Clusteringアルゴリズムを用いて5つのクラスターにクラスタリングした。その後、各クラスターに属する対象者とBMIが25kg/m2未満の対象者をそれぞれ統合し、5つのクラスターに応じてGWASを実施した。GWASにはGCTAのfastGWAを用いた。BMIは連続量とした。
【結果】Step-1では過去に肥満との関連が報告されている遺伝子領域での変異が検出された。Step-2ではStep-1で検出されたFTOやBDNF領域での変異が3つのクラスターにおいてそれぞれ分かれて検出された。更に、1つのクラスターではStep-1で関連が検出されていない、かつ先行研究にてBMIや身長などとの関連が報告されている遺伝子領域での変異が複数検出された。
【結論】 肥満の特性に応じて異なる遺伝子変異が検出された。