講演情報

[P2-3]カーネル統計量の計算のための簡便な方法Genotype Value Decompositionの開発

三澤 計治1,2 (1.横浜市立大学 大学院医学研究科 遺伝学, 2.理化学研究所革新知能統合研究センター)
最近のシーケンサー技術の進歩により、数千人規模のゲノムワイド解析が可能になった。Sequential Kernel Association Test(SKAT)は、表現型と希少バリアントのセットとの関連を検定する方法として広く用いられている。ヒト遺伝学研究のサンプルサイズが大きくなるにつれて、カーネルを計算するのに必要な計算時間が問題になってきている。そこで本研究では,カーネル行列を計算せずにカーネル統計量を求める新しい方法を提案する。対象となるのはGRMに基づくカーネル統計量と,IBS行列に基づくカーネル統計量の2つである。本研究で開発され、Genotype Value Decompositionと名付けられた手法を用いることで,行列計算を行うことなく,ベクトル計算によりカーネル統計量を計算することができる。本手法を用いることで,大規模なヒト遺伝学サンプルに対するSKATを行うことが可能となる。また、この手法により従来はbiallelic siteにのみ定義されていた統計量を、multiallelic siteでも計算できるように自然に拡張ができる。この研究成果はAdvanced Genetics誌にて出版された(Misawa 2022, Adv. Genet. 2100066)。