講演情報

[P26-11]治療に難渋しNCCオンコパネル検査による遺伝学的検索を行った低異型度子宮内膜間質肉腫の一例

村元 勤, 上條 恭祐, 佐野 めぐみ, 井吹 ゆき, 森 篤, 小林 弥生子 (長野市民病院 婦人科)
子宮内膜間質肉腫(endometrial stromal sarcoma:ESS)は子宮肉腫の10%程度のまれな疾患であり、低異型度と高異型度に細分され好発年齢や臨床経過に違いがある。低異型度子宮内膜間質肉腫(low grade ESS)は閉経前の40歳代に多く、治療は手術が一般的で化学療法が追加で行われることもあるが、肉腫の中では比較的予後は良好であるとされる。今回経過観察中に再発を繰り返し、化学療法に抵抗性を示し治療に難渋したために遺伝学的検索を行ったESSの症例を経験した。患者は55歳女性、4年前に子宮筋腫の診断で子宮全摘術を施行した。術後ESSの診断で付属器摘出術を追加し外来で経過観察していた。術4年後にCT検査で腹水貯留を認めたためにESSの再発を疑い、腹腔鏡下試験開腹術を施行した。骨盤腹膜、大網に播種を認めたために生検を行った。術後化学療法を施行したが効果が限定的であり、試験開腹の際に摘出した検体でNCCオンコパネル検査を行い、CDKN2A遺伝子の同型接合型欠失のバリアントとMLH1遺伝子のc.1572G>Cの病的意義不明のバリアントを認めた。その後化学療法が奏功し病巣が縮小したために完全切除を目指し試験開腹術を施行したが、腹腔内に多数の播種を認め完全切除は困難であると判断し手術を終了し、その後レジメンを変更し化学療法を続けたが、再発約2年弱で原病死となった。今回の臨床経過と治療内容、遺伝学的な観点も含め報告する。