講演情報
[P26-15]当院で経験したBirt-Hogg-Dube症候群の3家系
○村上 遥香1, 井上 沙聡1, 安齋 純子1, 松永 達雄1, 小山 孝彦2, 古屋 充子3, 山澤 一樹1 (1.国立病院機構東京医療センター 臨床遺伝センター, 2.国立病院機構東京医療センター 呼吸器外科, 3.株式会社ジェネティックラボ 病理診断部)
【緒言】
Birt-Hogg-Dube (BHD) 症候群は顔面頭頸部皮疹、多発性肺嚢胞、腎腫瘍を三主徴とする遺伝性腫瘍症候群である。原因遺伝子としてFLCN遺伝子が同定されており、常染色体顕性(優性)遺伝形式を取る。腎腫瘍に対してはサーベイランスが推奨される。当院で経験したBHD症候群の3症例を報告する。
【症例】
症例1:38歳女性。37歳時に腎細胞癌に対して左腎部分切除術を施行。38歳時に左肺嚢胞および自然気胸に対して胸腔鏡下肺嚢胞切除術を施行。皮疹は認めず。BHD症候群を疑い、FLCN遺伝子解析を研究実施し、既報のスプライスバリアントc.1300+1G>Aを同定した。家族歴は認めなかった。
症例2:31歳女性。29歳時から繰り返す自然気胸に対して胸腔鏡下肺嚢胞切除術を施行。多発性肺嚢胞、気胸と項部皮疹からBHD症候群を疑い遺伝学的検査を実施し、FLCN遺伝子にc.397-7_399delの既報の病的バリアントを同定した。父方血縁者に気胸、皮疹の家族歴を認めた。
症例3:52歳女性。51歳時に甲状腺癌(好酸性細胞型濾胞癌)に対して甲状腺全摘術を施行、脊椎多発転移に対して化学療法を実施中。経過中に自然気胸を認めた。腫瘍組織のがん遺伝子パネル検査でFLCN遺伝子にc.1347_1353dupの病的バリアントを同定し、生殖細胞系列の確認検査でも同バリアントを認めBHD症候群と診断した。母方血縁者に気胸罹患者を複数認めた。
【考察】
BHD症候群における症状の重症度は家系間および家系内でも著しく異なりうると報告されているが、当院で経験した3例においても表現型や診断に至った契機は多様である。加えて、今後は症例3のようにがんゲノム医療や遺伝子パネル検査の二次的所見として診断されるケースも増加することが想定される。各診療科と遺伝診療部門の院内連携のさらなる強化が重要であると思われる。
Birt-Hogg-Dube (BHD) 症候群は顔面頭頸部皮疹、多発性肺嚢胞、腎腫瘍を三主徴とする遺伝性腫瘍症候群である。原因遺伝子としてFLCN遺伝子が同定されており、常染色体顕性(優性)遺伝形式を取る。腎腫瘍に対してはサーベイランスが推奨される。当院で経験したBHD症候群の3症例を報告する。
【症例】
症例1:38歳女性。37歳時に腎細胞癌に対して左腎部分切除術を施行。38歳時に左肺嚢胞および自然気胸に対して胸腔鏡下肺嚢胞切除術を施行。皮疹は認めず。BHD症候群を疑い、FLCN遺伝子解析を研究実施し、既報のスプライスバリアントc.1300+1G>Aを同定した。家族歴は認めなかった。
症例2:31歳女性。29歳時から繰り返す自然気胸に対して胸腔鏡下肺嚢胞切除術を施行。多発性肺嚢胞、気胸と項部皮疹からBHD症候群を疑い遺伝学的検査を実施し、FLCN遺伝子にc.397-7_399delの既報の病的バリアントを同定した。父方血縁者に気胸、皮疹の家族歴を認めた。
症例3:52歳女性。51歳時に甲状腺癌(好酸性細胞型濾胞癌)に対して甲状腺全摘術を施行、脊椎多発転移に対して化学療法を実施中。経過中に自然気胸を認めた。腫瘍組織のがん遺伝子パネル検査でFLCN遺伝子にc.1347_1353dupの病的バリアントを同定し、生殖細胞系列の確認検査でも同バリアントを認めBHD症候群と診断した。母方血縁者に気胸罹患者を複数認めた。
【考察】
BHD症候群における症状の重症度は家系間および家系内でも著しく異なりうると報告されているが、当院で経験した3例においても表現型や診断に至った契機は多様である。加えて、今後は症例3のようにがんゲノム医療や遺伝子パネル検査の二次的所見として診断されるケースも増加することが想定される。各診療科と遺伝診療部門の院内連携のさらなる強化が重要であると思われる。