講演情報
[P26-16]当科における遺伝性乳癌卵巣癌症候群症例の検討
○佐藤 友威 (新潟県立中央病院 外科)
乳癌卵巣癌既発症者に対する、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の遺伝学的検査、リスク低減手術、サーベイランス目的のMRIが保険適応となり、HBOCの可能性のある症例の一次拾い上げと情報提供が重要になってきた。当科でも適応となる症例に対して情報提供し、希望される場合に遺伝学的検査を行い、これまでに14例のHBOC症例を経験したので、検討し報告する。2015年以降、4例が保険適応以前に自費(2例は他施設に検査依頼)で検査、10例がBRACAnalysisを行い、BRCA1変異を3名、BRCA2変異を11名に認めた。それぞれ平均年齢58歳(40-76)、49歳(28-70)であった。9例に乳癌、卵巣癌の家族歴を認めた。45歳以下の乳癌発症が8例、両側乳癌3例、同側多発(乳房温存療法後の新規の温存乳房内再発)1例であった。BRCA1変異3例中2例、BRCA2変異11例中2例がtriple negative乳癌であった。BRCA1変異のもう1例はHer2タイプ、BRCA2変異ではLumA1例、LumB6例、LumHer2 1例、Her2 1例であった。3例は当院で対側のリスク低減乳房切除術を行い、2例は他院においてリスク低減卵巣卵管切除術が施行された。HBOCは決して稀な疾患ではなく、日常遭遇する可能性がある。家族歴のない症例もあるため、適応になる症例には適切に情報提供する必要がある。HBOC症例に対するリスク低減手術などその後の対応は、症例毎にshared decision makingしていく必要がある。