講演情報
[P26-2]スプライシング異常を引き起こす稀なイントロンバリアントを認めたリンチ症候群の2例
○瀧本 裕美1, 若月 智和2, 好井 理世3, 金城 ちなつ4, 山本 剛2, 竹中 雄也5, 谷口 路善1, 上田 友子1, 成田 幸代1, 井上 佳代1, 片岡 幸三5, 鍔本 浩志1, 柴原 浩章1, 池田 正孝5, 澤井 英明1,4, 赤木 究2, 冨田 尚裕6 (1.兵庫医科大学 産科婦人科, 2.埼玉県立がんセンター 腫瘍診断・予防科, 3.堺市立総合医療センター 看護局, 4.兵庫医科大学 遺伝子医療部, 5.兵庫医科大学 下部消化管外科, 6.市立豊中病院 がん診療部)
MLH1及びMSH2遺伝子に稀なイントロンバリアントを認めた2例を経験したため報告する。【症例1】父親が大腸がん、伯祖父に胃癌、叔祖父に前立腺癌、曾祖母に子宮がん。30代で大腸癌が診断され多発肝転移に対してA病院で化学療法が施行され寛解したが肝硬変、右心不全、食道胃静脈瘤、血小板減少を呈した。40代で子宮体癌III期に対して当院で子宮全摘術を施行し、その後A病院で化学療法が施行され寛解した。50代で多発リンパ節転移を認め、当院でCTガイド下生検を行い子宮体癌再発と診断した。免疫組織化学染色(IHC)でMSH2及びMSH6の欠損を認め、MSI-highであった。Dial studyへ登録しMSH2 c.2458+976A>G によりイントロン14に118bpの新たなエクソンが出現し、p.V821Kfs*10となることが推測され、病的と判定された。Pembrolizumabを投与し寛解したが、約3年後に肝性脳症により死亡した。【症例2】70代女性。貧血を主訴に内視鏡検査にて盲腸癌、2か所の上行結腸癌が診断され、骨盤MRI検査を契機に子宮体癌が診断された。姉が結腸癌、子宮癌、妹が乳癌、胃癌、盲腸癌の既往がありリンチ症候群が疑われた。腹腔鏡下に右半結腸切除、子宮・付属器摘出、骨盤・傍大動脈リンパ節郭清術を施行した。術後診断は子宮体癌IA期、盲腸癌IA期、2か所の上行結腸癌はいずれもpTisであった。子宮体癌と盲腸癌のIHCでいずれもMLH1及びPMS2が欠損していた。生殖細胞系列マルチ遺伝子パネル検査にてMLH1 c.545+4_545+5del (intronic)を認め、InVitaeの報告書ではVUSであったが、本邦のYamaguchiらによりExon 6 skipが報告されており病的と判断し家系内解析予定である。また、Dial Studyへ登録した。