講演情報
[P26-20]発端者の遺伝情報は不明であったが重篤な悪性腫瘍発症リスクがあり血縁者に遺伝性腫瘍マルチ遺伝子パネル検査を実施した症例
○岡田 千穂1, 鹿嶋 見奈1, 金城 ちなつ1, 宮田 海香子1, 澤井 英明2 (1.兵庫医科大学病院 遺伝子医療部, 2.兵庫医科大学 産科婦人科学)
【はじめに】胃腺がんおよび胃近位ポリポーシス (Gastric Adenocarcinoma and Proximal Polyposis of the Stomach:GAPPS)は胃底腺ポリポーシスおよび胃癌を特徴とする遺伝性腫瘍でAPC関連ポリポーシスの1つである。今回発端者の遺伝情報が得られない状況下で未発症者の遺伝性腫瘍マルチ遺伝子パネル(MGP)検査を行い、GAPPSの原因であるAPC 遺伝子プロモーター1B領域の病的バリアントを認めた1 家系を経験したので報告する。
【症例】発端者は36歳男性。34歳で上部内視鏡検査で胃多発ポリープを指摘されるも医療機関は受診せず。36歳時に食事がつかえ嘔吐を契機に近医受診し、噴門部がんおよび多発ポリープを認めA病院に紹介受診。胃全摘術施行後、胃がんの腹膜播種にて闘病の末逝去。経過と病理検査結果から胃限局性若年性ポリポーシスが疑われたことから、消化器がんやポリープの家族歴はないものの、遺伝を心配し家族が遺伝カウンセリング目的に当院受診。妻の強い希望から、未発症である子ども達に対し若年性ポリポーシスの原因遺伝子を含む84遺伝子を対象とした遺伝性腫瘍MGP検査を実施した結果、うち1人にAPC遺伝子プロモーター領域にc.-191T>Cの病的バリアントを認めた。
【考察】これまでは発端者の遺伝学的検査を行わなければ家系内解析は難しいとされてきたが、本症例のように発端者が亡くなっており遺伝情報が得られず他に罹患者もいない状況下では、未発症者を対象にしたMGP検査は一考に値する。小児に対する遺伝学的検査について議論の余地があるものの、GAPPSは同一家系内でも表現型に差があり10歳未満で胃ポリポーシスを発症した例も報告されている。サーベイランス方法が確立されていないため、小児内視鏡検査が可能な近隣施設と協力し対応していきたい。
【症例】発端者は36歳男性。34歳で上部内視鏡検査で胃多発ポリープを指摘されるも医療機関は受診せず。36歳時に食事がつかえ嘔吐を契機に近医受診し、噴門部がんおよび多発ポリープを認めA病院に紹介受診。胃全摘術施行後、胃がんの腹膜播種にて闘病の末逝去。経過と病理検査結果から胃限局性若年性ポリポーシスが疑われたことから、消化器がんやポリープの家族歴はないものの、遺伝を心配し家族が遺伝カウンセリング目的に当院受診。妻の強い希望から、未発症である子ども達に対し若年性ポリポーシスの原因遺伝子を含む84遺伝子を対象とした遺伝性腫瘍MGP検査を実施した結果、うち1人にAPC遺伝子プロモーター領域にc.-191T>Cの病的バリアントを認めた。
【考察】これまでは発端者の遺伝学的検査を行わなければ家系内解析は難しいとされてきたが、本症例のように発端者が亡くなっており遺伝情報が得られず他に罹患者もいない状況下では、未発症者を対象にしたMGP検査は一考に値する。小児に対する遺伝学的検査について議論の余地があるものの、GAPPSは同一家系内でも表現型に差があり10歳未満で胃ポリポーシスを発症した例も報告されている。サーベイランス方法が確立されていないため、小児内視鏡検査が可能な近隣施設と協力し対応していきたい。