講演情報
[P28-2]沖縄県民におけるゲノムワイド相関解析による肝機能関連領域の同定
○大山 詔子1,2, 松波 雅俊1, 今村 美菜子1,3, 前田 士郎1,3 (1.琉球大学大学院医学研究科 先進ゲノム検査医学講座, 2.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科, 3.琉球大学病院 検査・輸血部)
【背景と目的】沖縄県では肝硬変での死亡率が全国ワースト1位とされている。生活習慣の欧米化、飲酒習慣などの環境要因が影響していると考えられるが、沖縄県出身者は特有の遺伝背景を有する事から遺伝要因の関与も想定される。そこで、沖縄県民を対象とした血清肝酵素値(AST, ALT)に関するGWASを実施した。
【方法】沖縄バイオインフォメーションバンクに登録されている20 歳以上の沖縄県在住の健康診断受診者(n=7,536)を対象とした。Asian Screening Array(Illumina, U.S.A)を用い、約65万か所の1塩基多型(SNP)の遺伝型情報をもとにImputationにより約820万 SNPsの遺伝型情報(Rsq≧0.7, MAF≧0.005)を得、正規化したALTおよびAST値を従属変数、SNPsの遺伝型を説明変数、年齢、性別および第1~第10主成分を共変量とした線形回帰解析によりGWASを行った。
【結果】ALT値と相関する1領域(rs2074356 in HECTD4 : p = 1.30 × 10-10)、AST値と相関する3領域(rs76850691 in GOT1 : p = 3.10 × 10-20, rs2074356 in HECTD4 : p = 9.30 × 10-15, rs116171347 : p = 2.90 × 10-10 in MRC1)が同定された。いずれも既報の領域であったが、本土日本人で最も関連の強いPNPLA3領域はゲノムワイド水準には達しなかった(rs36055245, p = 1.40 × 10-7)。HECTD4領域のrs2074356はALDH2内のrs671 (p.Glu504Lys)と強い連鎖不平衡(R2 = 0.92)にあり、rs671のアレル頻度はOBi対象者では0.13と本土日本人(JPT)のアレル頻度(0.24)に比べ低頻度であった。飲酒頻度による補正を行った結果では、rs2074356とAST値との相関はp = 9.00× 10-10となり、この領域におけるASTとの相関の一部は飲酒頻度を介したものと推察された。ALT値との相関は飲酒頻度の補正後もほぼ同様の結果であった(p = 6.40 × 10-10)。
【結論】沖縄県在住者を対象としたGWASにより、沖縄県民の血清肝酵素値と相関する複数のゲノム領域を同定した。
【方法】沖縄バイオインフォメーションバンクに登録されている20 歳以上の沖縄県在住の健康診断受診者(n=7,536)を対象とした。Asian Screening Array(Illumina, U.S.A)を用い、約65万か所の1塩基多型(SNP)の遺伝型情報をもとにImputationにより約820万 SNPsの遺伝型情報(Rsq≧0.7, MAF≧0.005)を得、正規化したALTおよびAST値を従属変数、SNPsの遺伝型を説明変数、年齢、性別および第1~第10主成分を共変量とした線形回帰解析によりGWASを行った。
【結果】ALT値と相関する1領域(rs2074356 in HECTD4 : p = 1.30 × 10-10)、AST値と相関する3領域(rs76850691 in GOT1 : p = 3.10 × 10-20, rs2074356 in HECTD4 : p = 9.30 × 10-15, rs116171347 : p = 2.90 × 10-10 in MRC1)が同定された。いずれも既報の領域であったが、本土日本人で最も関連の強いPNPLA3領域はゲノムワイド水準には達しなかった(rs36055245, p = 1.40 × 10-7)。HECTD4領域のrs2074356はALDH2内のrs671 (p.Glu504Lys)と強い連鎖不平衡(R2 = 0.92)にあり、rs671のアレル頻度はOBi対象者では0.13と本土日本人(JPT)のアレル頻度(0.24)に比べ低頻度であった。飲酒頻度による補正を行った結果では、rs2074356とAST値との相関はp = 9.00× 10-10となり、この領域におけるASTとの相関の一部は飲酒頻度を介したものと推察された。ALT値との相関は飲酒頻度の補正後もほぼ同様の結果であった(p = 6.40 × 10-10)。
【結論】沖縄県在住者を対象としたGWASにより、沖縄県民の血清肝酵素値と相関する複数のゲノム領域を同定した。