講演情報

[P32-5]初期研修医に対する臨床遺伝医療教育の実態調査

京井 奈美1, 江川 真希子1,2,3, 不殿 絢子4, 高嶺 恵理子3,5, 岡田 英理子6,7, 鹿島田 彩子6,7, 山田 崇弘9, 吉田 雅幸1,3,8 (1.東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 修士課程 医歯理工保健学専攻 先進倫理医科学分野 遺伝カウンセリングコース, 2.東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 寄附講座 血管代謝探索研究部門, 3.東京医科歯科大学病院 遺伝子診療科, 4.東京医科歯科大学病院 周産・女性診療科, 5.東京医科歯科大学病院 がんゲノム診療科, 6.東京医科歯科大学病院 診療管理部門 総合教育研修センター, 7.東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 全人的医療開発学講座 臨床医学教育開発学分野, 8.東京医科歯科大学 生命倫理研究センター, 9.京都大学 大学院医学研究科社会健康医学系専攻 医療倫理学・遺伝医療学分野)
【背景・目的】現在、多くの医療現場で遺伝情報の活用が始まっており、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーなどの遺伝専門職だけでなく、遺伝を専門としない医師や研修医もファーストタッチを担う必要がある。医学部における卒前教育では遺伝医療について学ぶ機会があるが、初期研修医を対象とした「臨床研修の到達目標」には現在、遺伝医療に関するものは含まれていない。そこで本研究では、初期研修医に対する適切な臨床遺伝教育について考えるため、初期研修における遺伝医療教育の現状と初期研修医のニーズの把握を目的として調査研究を行った。【方法】2020年度4月から東京医科歯科大学病院で研修を開始した初期研修医107名を対象として、2年間の研修終了時の2022年3月にWebによる無記名質問紙調査を行った。質問内容は(1)回答者の属性と背景(2)臨床遺伝医療教育に対する考えや要望(3)遺伝専門職の認知度の3部構成となっており、質問項目数は計33問とした。【結果】48名から回答を得、回答率は44.8%であった。初期研修期間に遺伝医療関連症例の経験があると回答したのは約50%で、その経験症例において医学部卒前教育が役に立ったと約70%が回答した。初期研修期間中に臨床遺伝教育が必要であると75%が回答し、この回答には遺伝医療関連症例経験の有無による差は認めなかった。遺伝医療に関する教育を受けたい分野としては、周産期領域が最多(52%)で、次いで遺伝性腫瘍領域(48%)、がんゲノム医療(42%)であった。教育を誰から受けたいかという問いに対しては臨床遺伝専門医が89%と最も多く選ばれた。【考察】遺伝医療関連症例の経験の有無に関わらず、初期研修医の多くが遺伝医療に関する教育が必要と考えており、初期研修期間における臨床遺伝教育に高いニーズが存在することが示唆された。