講演情報

[P4-1]難病ゲノム基盤における全ゲノム解析の取り組み

大前 陽輔, 河合 洋介, 徳永 勝士 (国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト(戸山))
AMED難治性疾患実用化研究事業「難病のゲノム医療推進に向けた全ゲノム解析基盤に関する研究開発」は、ゲノム医療の実現・推進を目指す我が国の取り組みの中で、2020年10月より各種難病患者の大規模な全ゲノム解析を担当しており、それぞれの疾患分野の先導的研究者が分担者として参加している。これらの分担研究者が多くの患者さんのご協力を得て収集、保管してきた検体について、国立国際医療研究センターの我々「ゲノム基盤」グループが全ゲノム解析を実施し、その結果を分担研究者に報告する。分担研究者はこの全ゲノムデータに加えて、詳細な臨床情報と専門的な解析を加えることにより研究成果の一層の進展を目指す。残った患者試料は「難病バイオバンク」に、また得られた大規模ゲノムデータは「難病ゲノムデータセンター」に、それぞれ保管され、さらに将来的にCANNDsと呼ばれる公的データベースに登録されることによって、製薬企業やアカデミアの研究者による利活用が可能となる。これまでに、分担機関に向けて検体と臨床情報の提供手引きを送るとともに検体管理システムを完成し、臨床情報データベースの仕様についても厚労省の難病ゲノムに関する統合研究班と連携して策定した。本研究班で令和2年度と3年度に実施した全ゲノム解析は、単一遺伝子疾患、多因子性難病、そして未診断疾患について、それぞれ2,421例、2,015例、2,429例、合わせて6,800例に達した。今年度も引き続き解析を実施し1万例を上回る検体の解析が可能となる見通しである。