講演情報

[P4-3]ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)におけるゲノム情報取得の取り組み

野入 英世1, 大前 陽輔1,2, 河合 洋介2, 北島 浩二1, 島貫 秀之1, 後藤 雄一1,3, 徳永 勝士1,2 (1.ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN) 中央バイオバンク, 2.国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト(戸山), 3.国立精神・神経医療研究センター メディカル・ゲノムセンター)
主要疾患の基礎研究、臨床研究を行っている6つの国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター、NC)は、その研究基盤として疾患特異的な生体由来試料をバイオバンクに収集してきた。ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)は、中央バイオバンク事務局をハブとして連邦型のネットワークを組織し、各NCバイオバンクの疾患専門性を活かしながら、ウェブ公開のNCBNカタログデータベース(カタログDB、http://www2.ncbiobank.org/Index)を介して研究者コミュニティによるNCBN試料の利活用を促進している。カタログDBの検索ページでは、病名からの検索、性別での絞り込み、生体試料の種類での検索、年齢や既往歴、現病歴等での絞り込み等ができるようになっており、生体試料の種類での検索においては、分譲申請可能な試料数の検索も可能である。 NCBNの多様な患者由来生体試料は高品質で豊富な医療情報を伴っているという特長を有しており、疾患研究、薬剤開発ばかりでなく、ライフサイエンス研究全般に利用可能な汎用性を保持している。2020年より従来の生体試料と医療情報に加えて、試料の全ゲノムシーケンス解析を実施し、がんおよび難病のコントロールとなる9,850検体のNCBN試料の全ゲノムデータを取得した。得られたゲノムバリアントの統計情報は現在投稿中の論文採択後、NBDCヒトデータベースならびにMGeNDにて非制限公開予定である。また、個人毎のデータも共同研究として利用可能になっている。既にカタログDB上での各試料のゲノム情報の有無も検索可能となっており、NCBNでは試料とゲノム情報の両方を希望者に提供できる体制づくりを整備している。