講演情報

[P4-5]国立国際医療研究センターバイオバンクにおける予後の追跡調査に対する患者の反応と意見調査

中島 由紀子, 考藤 達哉, 杉山 真也 (国立国際医療研究センター 国府台病院 バイオバンク)
【目的】当センターでは、バイオバンクのインフォームドコンセント(IC)を行う中で、予後の追跡調査に関する同意説明も行っている。当センターを退院、転院後にも予後を調査もしくはデータ提供を依頼するものである。近年、デジタル庁がマイナンバーカードによる1人1カルテ政策を推進しており、予後調査が大規模に実施されうる情勢にある。本研究では、この予後調査に対する患者の意識調査を行った。【方法】2022年1月から4月までの間で、バイオバンクIC時に予後調査に対する回答についてデータを抽出した。この予後調査に対する同意状況に関して、性別、世代、コメントについて集計した。【成績】対象期間に同意説明し、本研究の対象となった患者数は成人76名、未成年(代諾による)11名であった。全体の男女比は、ほぼ1:1であり、集団としての男女差はなかった。世代としては、10代以下11名、20代2名、30代1名、40代4名、50代17名、60代12名、70代26名、80代8名、90代1名であった。成人患者で予後調査に同意しなかったヒトは1名で、それ以外は同意を示した。同意しなかった患者は、70代女性で、「個人情報はやはりすこし怖い」と懸念を示した。未成年患者で予後調査に同意しなかったヒトは1名であった。同意しなかった患者は、10代女性で、「まだ未成年であり、ずっと見られているようで予後調査は避けたい」とのことであった。【結論】IC時に適切な説明を行うことで、多くの患者に追跡調査に関して前向きな意見と同意を得られる状況にあった。データの匿名性を保ちつつ、研究への活用を提案することで、自身の苦しんでいる疾患の解決につながるのであれば協力したい、という意見が多くを占めた。マイナンバーカードを用いた利便性の向上や診療データの集約に関しても、これまでの手続きの煩雑さが解消されることを期待する声が多く、期待されていた。