講演情報

[S1-4]ゲノムコホート研究におけるマルチオミックス解析

清水 厚志 (岩手医科大学 医歯薬総合研究所 生体情報解析部門)
ヒトゲノム計画後、The Encyclopedia of DNA Elements (ENCODE)やThe International Human Epigenome Consortium (IHEC) により多数の組織、細胞種を用いたゲノムワイドな機能性エレメントの同定が進み、The Genotype-Tissue Expression (GTEx) consortiumからはexpression Quantitative Trait Locus (eQTL) などのマルチオミックス解析データも公開され、疾患ゲノム解析やゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定した原因変異や感受性多型のアノテーションに活用されている。
2013年に開始した東北メディカル・メガバンク(TMM)計画ではコホート調査とバイオバンクの構築を行い、合わせてゲノムオミックス解析を実施することで生体試料だけではなく情報としてのバイオバンクとして機能している。これらの個人ごとのゲノムオミックスデータはすべて分譲対象でありTMM計画試料情報分譲審査委員会への申請・承認を経て利用することができる。また、TMM計画データベースであるjMorpにおいて、遺伝子多型やDNAメチル化率、遺伝子発現量、代謝産物の頻度や分布、さらにはGWAS要約統計量を公開している。岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構は特にマルチオミックス解析に注力しており、データベースであるiMETHYLにて全血、単核球(PBMC)、臍帯血のDNAメチル化情報やMethylation quantitative trait loci (mQTL)、eQTL情報を公開している。
本シンポジウムではTMM計画におけるゲノムオミックス解析について紹介し、ゲノムコホート研究の疾患ゲノム研究への貢献、さらには社会に果たす役割について議論したい。