講演情報

[S11-2]ゲノムデータ利活用を目指したNBDCヒトデータ共有ガイドラインの改定

川嶋 実苗 (科学技術振興機構 NBDC事業推進部)
科学技術振興機構NBDC事業推進部では、生命科学分野や医学分野など、ヒトを対象とした研究を実施する際に収集された情報やヒト由来試料を用いた解析データ(以下、両者を合わせて「ヒト関連データ」とする)を共有するためのプラットフォーム「NBDCヒトデータベース(DB)」を、国立遺伝学研究所の生命情報・DDBJセンターとの協働のもと運用している。NBDCヒトDBでは、公的資金を投じて産出されたヒト関連データを広く収集し、製薬企業等の民間企業を含め、国内外の研究機関において実施される様々な研究に活用されることで、生命科学・医学の進展や公衆衛生の向上を目指している。
2000年以降、人間の尊厳及び人権を尊重して適正かつ円滑にヒトゲノム研究を実施するため、ヘルシンキ宣言やヒトゲノム研究に関する基本原則に示された倫理規範等を踏まえて策定された「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の遵守が求められるようになった。更に、2015年の個人情報の保護に関する法律(以下、「個情法」とする)の改正の際には、個人情報の定義の明確化が行われ、新たに定義された「個人識別符号」に一部のゲノムデータが、また、ゲノムデータを解析して疾患へのかかりやすさなどの解釈を付加して医学的意味合いを持った「ゲノム情報」は要配慮個人情報に該当する旨が定められた。2015年改正以前は、匿名化をすることで「非個人情報」としてゲノムデータを扱っていたところから、一転して、個人識別符号の定義に該当するゲノムデータを含む情報を個人情報として扱うことが求められるようになった。
 NBDCヒトDBでは、データ共有のためのルールとして、遵守すべき法令や指針の内容を反映したガイドラインを定めており、ヒト関連データの共有化を阻害せず、かつ、研究対象者に不利益を生じさせないよう努めている。これまでの改正への対応内容について紹介する。