講演情報

[S12]全ゲノムシークエンスデータ解析の実際

鎌谷 洋一郎1, 日笠 幸一郎2, 岡田 随象3,4,5, 藤本 明洋6 (1.東京大学 大学院新領域創成科学研究科, 2.関西医科大学附属生命医学研究所ゲノム解析部門, 3.大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学, 4.東京大学大学院医学系研究科 遺伝情報学, 5.理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム, 6.東京大学医学系研究科 人類遺伝学教室)
現在全ゲノムシークエンスが研究だけでなく診療にも使われるようになってきている。ゲノム医学の知識は、医師、遺伝カウンセラー、メディカルスタッフなどのさまざまな医療関係者や研究者にとって必須である時代が到来している。最終的に手にするデータはさまざまな解釈を経た後のレポートであったとしても、そのデータが実際どのように解析された結果のものであるかを把握しておくと、現実感を持って診療での利用に結びつく可能性がある。また、ゲノムデータは引き続き研究でも利用されるだろう。実際に手を動かすところを見てもらうことで、研究をやってみたいと思う方にとっての敷居を低くすることができるのではないか。本シンポジウムでは聴衆の前で、一緒に考えながら全ゲノムシークエンスデータの実際の解析を行う。
まず最初に、次世代シーケンサーから出てくる生データについてどのような解析ツールをどのように施すことで、個々人のゲノム多様性を表すバリアントファイルができるかを丁寧に追いかける(東京大学・鎌谷)。
次に出来上がったバリアントファイルを用いて、希少難治性疾患・メンデル遺伝病を対象に、膨大な数の変異から病的変異を絞り込む過程について、具体的な例を交えながら解説する(関西医科大学・日笠)。
そしてバリアントファイルを用いた関連解析や、より高度な解析について、いくつか例を挙げて研究的な解析を実演する(大阪大学/東京大学/理化学研究所・岡田)。
ここまでに実際に解析するのは全ゲノムシークエンスと言ってもショートリード・シークエンスの結果である。分野によっては実地診療において用いられるうるロングリード・シークエンスについても、最後に実際のデータを用いた解析を直接行う(東京大学・藤本)。