講演情報
[S13-1]薬理遺伝学バイオマーカーの臨床実装
○莚田 泰誠 (理化学研究所 生命医科学研究センター)
薬理遺伝学検査は、薬物応答に関する生殖細胞系列の遺伝情報を扱う検査 (遺伝学的検査) と定義され、特定の患者における薬効、副作用リスクや薬物動態などの薬物応答性を予測することにより、患者に恩恵をもたらしている。実際、国内では抗がん薬イリノテカンによる重篤な副作用の発現リスクを予測するUGT1A1検査、炎症性腸疾患、リウマチ、白血病、自己免疫性肝炎等の治療におけるチオプリン製剤 (6-メルカプトプリン、アザチオプリン) の投与可否を判断したり、至適投与量を予測したりするためのNUDT15検査、多発性硬化症治療薬シポニモドの投与可否・維持用量を判断するためのCYP2C9検査(いずれも保険収載)、ゴーシェ病治療薬エリグルスタットの用法・用量調整に用いられるCYP2D6検査 (先進医療) の4種類 (5薬剤) が既に臨床応用されている。
今年5月の日本臨床薬理学会からの「診療における薬理遺伝学検査の運用に関する提言」では、上述の検査以外に、CYP2C19、NAT2、HLA遺伝子など保険適用には至っていないものの、診療における有用性のエビデンスの強さが一定以上であると医薬品添付文書や診療ガイドラインなどの情報より判断される15種類の薬理遺伝学検査がリスト化されている。これらの薬理遺伝学検査の臨床実装を推進するためには、品質・精度管理が確保された遺伝子検査法を開発し、体外診断用医薬品として製造販売承認を取得することに加えて、検査結果に基づいた、患者にとっての臨床的なメリットをもたらす治療介入法の提案が必要と考えられる。
今年5月の日本臨床薬理学会からの「診療における薬理遺伝学検査の運用に関する提言」では、上述の検査以外に、CYP2C19、NAT2、HLA遺伝子など保険適用には至っていないものの、診療における有用性のエビデンスの強さが一定以上であると医薬品添付文書や診療ガイドラインなどの情報より判断される15種類の薬理遺伝学検査がリスト化されている。これらの薬理遺伝学検査の臨床実装を推進するためには、品質・精度管理が確保された遺伝子検査法を開発し、体外診断用医薬品として製造販売承認を取得することに加えて、検査結果に基づいた、患者にとっての臨床的なメリットをもたらす治療介入法の提案が必要と考えられる。