講演情報

[S16-3]ヒトの正の自然選択

颯田 葉子 (総合研究大学院大学 先導科学研究科 生命共生体進化学専攻)
ヒトゲノムに働く自然選択を検出する方法はここ30年ほどの間に様々開発されてきた。それらを分類すると、1)分子進化学的な解析に基づくものや種内多型と種間の多様性の比較を利用する方法(dn/ds, HKA testなど) 、2)site frequecncy spectrum を利用した塩基座位baseの方法(Tajima's Dなど)、3)連鎖不平衡を利用したハプロタイプbaseの方法(EHH, nSL, iHSなど)、4)機械学習を利用したハプロタイプbaseの方法などが挙げられる。これらの方法には一長一短があるが、どの方法もparameters(選択が始まった時期や選択の強さ)の推定ができないという短所を共有している。最近では、この短所をカバーするべく、遺伝子座の組み換えを考慮したコアレセント理論(ARG)と隠れマルコフ過程(HMM)を用いた頻度変化推定から最尤法を用いてparameterの推定を行う方法(CLUES) も開発されている。本講演では、これらの自然選択検出法の短所長所をまとめ、さらに我々の研究室で新たに開発した自然選択検出法(2DSFS)を紹介する。また、これらの方法により検出された正の自然選択の例、特に疾病関連の遺伝子(LCT,ST8SIA2, APOBEC2Gなど) について紹介する。