講演情報

[S17-1]配偶子形成から受精過程における染色体分配メカニズムの解明

北島 智也 (理化学研究所 生命機能科学研究センター 染色体分配研究チーム)
多くの細胞において、細胞分裂における染色体分配の正確性は精巧な機構により保証されている。しかしながら、卵母細胞、卵子、初期胚における染色体分配はエラーの頻度が高いことが知られており、このことは流産や、ダウン症など先天性疾患の主要な原因となっている。なぜこれらの細胞で染色体分配のエラー頻度が高いのかは明らかになっていない。我々はこれまでマウスをモデルとした研究から、卵母細胞の巨大な細胞質や、減数分裂特異的な染色体構造が染色体分配エラーを起こしやすい状態を作り出すことを報告してきた。また、母体が高齢となるに伴い染色体構造の脆弱化と遺伝子発現の異常が生じ、染色体の早期分離を介して染色体分配エラーが引き起こされることを示してきた。今回の発表では、受精段階における染色体および核の制御機構と、その破綻がきたす異常について最近得られたデータ紹介し、配偶子形成から受精過程を通した染色体分配のメカニズムについて議論したい。