講演情報
[S18-1]核酸医薬の開発動向と将来展望
○井上 貴雄 (国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部)
核酸医薬を構成するオリゴ核酸は、生体に備わった機構をうまく活用することで多彩な機能を生み出す。これにより、核酸医薬には作用機序の異なる多様なモダリティが含まれることとなり、臨床開発されているものに限定しても、アンチセンス、siRNA、miRNA、デコイ、アプタマー、CpGオリゴの少なくとも6つの核酸医薬モダリティが存在する。この中で、RNAを標的とするアンチセンス、siRNAならびにmiRNAの開発が特に進展しており、2022年7月時点で、アンチセンス医薬品9品目、siRNA医薬品5品目が承認されたほか、多数の開発品について臨床試験が行われている。
RNAを標的とする核酸医薬は、非コードRNAを含めたすべてのRNA分子を標的とすることが可能であり、タンパク質を標的とする低分子医薬や抗体医薬と比較して、創薬対象が圧倒的に多いという優位性がある。また、従来の医薬品では難しかった「タンパク質の量を減少あるいは増加させる」という作用機序が可能であり、新規の分子機構でアンメットメディカルニーズに対応しうるポテンシャルを有する。もうひとつの優位性としては開発スピードが挙げられる。すなわち、核酸医薬は核酸モノマーが連結したオリゴ核酸という共通の構造を有すること、有効性の高いリード化合物(核酸配列)を短期間で取得できること、得られたリード化合物がそのまま(あるいは短いステップで)臨床開発品になることなどから、一度開発スキームが完成すれば、創薬標的が変わっても迅速に開発を進めることが可能である。
本講演では、上記のような核酸医薬の特徴や開発動向を概説するとともに、安全性確保に向けた我々の取り組みについても紹介したい。
RNAを標的とする核酸医薬は、非コードRNAを含めたすべてのRNA分子を標的とすることが可能であり、タンパク質を標的とする低分子医薬や抗体医薬と比較して、創薬対象が圧倒的に多いという優位性がある。また、従来の医薬品では難しかった「タンパク質の量を減少あるいは増加させる」という作用機序が可能であり、新規の分子機構でアンメットメディカルニーズに対応しうるポテンシャルを有する。もうひとつの優位性としては開発スピードが挙げられる。すなわち、核酸医薬は核酸モノマーが連結したオリゴ核酸という共通の構造を有すること、有効性の高いリード化合物(核酸配列)を短期間で取得できること、得られたリード化合物がそのまま(あるいは短いステップで)臨床開発品になることなどから、一度開発スキームが完成すれば、創薬標的が変わっても迅速に開発を進めることが可能である。
本講演では、上記のような核酸医薬の特徴や開発動向を概説するとともに、安全性確保に向けた我々の取り組みについても紹介したい。