講演情報
[S2-4]X連鎖性遺伝性疾患の保因者母体におけるcell-free DNAを用いた胎児性別判定の臨床的応用
○長谷川 ゆり1, 吉浦 孝一郎2, 三浦 清徳1 (1.長崎大学 産婦人科, 2.長崎大学 原研遺伝)
【緒言】X連鎖遺伝性疾患の出生前診断の第一段階として、一般的には胎児性別判定のための絨毛膜絨毛採取(CVS)が妊娠11-13週に実施される。胎児が女性である場合、母親と同じ保因者もしくは正常であり、胎児が男性の場合、男性胎児は正常か罹患児であるため、さらなる遺伝子解析が必要である。しかし、CVSの処置関連流産率は0.5-1.0%であるため、母体血漿中のcell-free DNA(cff-DNA)を用いた非侵襲的方法が望まれている。
【対象と方法】デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の保因者妊婦3例を対象に,妊娠9-12週目に母体血漿中cff-DNAのnested PCRを行い、胎児の性別診断を行った。女性DNAのPCR産物は261bpの断片のみを示し、男性DNAのPCR産物は261bpと198bpの断片の両方を示した。
【症例】症例1は29歳、3妊2産。第1子がDMDであったため、遺伝子検査を受け、母親がDMD保因者と診断された。第2子の妊娠では、妊娠12週目にDMDの出生前診断のためにCVSが行われ、遺伝子解析の結果、胎児は男児でDMDの変異はなかった。今回の児は女児と診断された。妊娠16週に行った超音波検査と羊水染色体検査により女児と確定診断した。
症例2は23歳、4妊1産。第1子がDMDであったため、遺伝子検査を受け、DMD保因者と診断された。今回の胎児は女児と診断された。妊娠16週に行った超音波検査と羊水染色体検査により女児と確定診断した。
症例3は29歳、4妊1産。妊娠9週目に当院に紹介された。妊婦の弟がDMDであったため遺伝子検査を受け、DMDの保因者と診断された。第1子は男児で出生後DMDと診断された。今回の胎児はcff-DNAのPCRより男児と考えられ、CVSの遺伝子診断によりDMDと診断された。
【結語】16週目の超音波検査と羊水穿刺(女性2例),12週目のCVS(男性1例)で確認したところ,3例とも胎児の性別は正確に決定された.この方法によって、女性胎児に対する不必要なCVSを回避できる可能性がある。
【対象と方法】デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の保因者妊婦3例を対象に,妊娠9-12週目に母体血漿中cff-DNAのnested PCRを行い、胎児の性別診断を行った。女性DNAのPCR産物は261bpの断片のみを示し、男性DNAのPCR産物は261bpと198bpの断片の両方を示した。
【症例】症例1は29歳、3妊2産。第1子がDMDであったため、遺伝子検査を受け、母親がDMD保因者と診断された。第2子の妊娠では、妊娠12週目にDMDの出生前診断のためにCVSが行われ、遺伝子解析の結果、胎児は男児でDMDの変異はなかった。今回の児は女児と診断された。妊娠16週に行った超音波検査と羊水染色体検査により女児と確定診断した。
症例2は23歳、4妊1産。第1子がDMDであったため、遺伝子検査を受け、DMD保因者と診断された。今回の胎児は女児と診断された。妊娠16週に行った超音波検査と羊水染色体検査により女児と確定診断した。
症例3は29歳、4妊1産。妊娠9週目に当院に紹介された。妊婦の弟がDMDであったため遺伝子検査を受け、DMDの保因者と診断された。第1子は男児で出生後DMDと診断された。今回の胎児はcff-DNAのPCRより男児と考えられ、CVSの遺伝子診断によりDMDと診断された。
【結語】16週目の超音波検査と羊水穿刺(女性2例),12週目のCVS(男性1例)で確認したところ,3例とも胎児の性別は正確に決定された.この方法によって、女性胎児に対する不必要なCVSを回避できる可能性がある。