講演情報
[S3-2]遺伝カウンセリングにおける情報提供と心理社会的援助のバランスを考える
○浦野 真理 (東京女子医科大学 ゲノム診療科)
昨今の医療現場において、遺伝カウンセリングの認知の広がりを感じることも多くなった。また、ゲノム解析技術の進歩やがんゲノム医療の発展によって、遺伝カウンセリングを求める人々が多様になった印象もある。従来のような、ある単一遺伝性疾患についての遺伝カウンセリングが行われていた小児科、神経内科、産婦人科などの領域だけでなく、あらゆる診療科に遺伝学が関わるようになり、より幅広い分野で扱われている。それに伴い、クライエントに伝えるべき医学情報の量が格段に増加し、内容もより複雑になっている。例えば、がん遺伝子パネル検査で考えてみると、がんの症状、治療などがんそのものに関する情報をはじめとして、遺伝子検査の方法と解析費用、期間などの実質的な検査の内容、さらに体細胞遺伝子と生殖細胞遺伝子変異の違い、二次的所見の可能性、さらに遺伝子変異が見つかった場合にも即治療ができるかどうかはわからないこと等、かなり範囲が広い。クライエントが納得して検査に臨めるように説明するには時間と伝える工夫も必要になってくる。このように普段接しないような難解な医学情報であると、内容を理解することに時間が割かれるため、心理社会的な支援の視点が薄くなっていくことは否めない。結果開示の際に、クライエントの理解が不十分な点や消化しきれていない不安が発言から理解されることもあり、検査前の遺伝カウンセリングでの心理状態を把握しきれていないと感じることもある。
クライエントに有益な情報提供と心理社会的援助のバランスを保ちながらアプローチするにはどうしたらよいか、“Back to Basic!“のテーマを元に遺伝カウンセリングの基本に立ち返りながら論じてみたい。
クライエントに有益な情報提供と心理社会的援助のバランスを保ちながらアプローチするにはどうしたらよいか、“Back to Basic!“のテーマを元に遺伝カウンセリングの基本に立ち返りながら論じてみたい。