講演情報
[S3-4]エビデンスに基づいた遺伝カウンセリング:遺伝カウンセリング研究の必要性
○川目 裕 (東京慈恵会医科大学附属病院 遺伝診療部)
2001年に,BieseckerとPetersは, “遺伝カウンセリングは,遺伝情報を核とした心理教育的なプロセスである.提供者とクライエントとの間に築かれた治療的な関係性の中で,個々の科学的,確率的な情報を自分のものとし,自己決定を促進し,時間と共に適応する能力を高めるのを助ける.遺伝カウンセリングの目標は,クライエントの遺伝情報を,心理的ジストレスを最小にし,自己コントロール感を増進しながら,個人にとって意味のあるように利用する力を援助することである”と述べている.
この遺伝カウンセリングが,医療の枠組みで,クライエントにとって,また社会にとって,あまねく有益な医療行為として認知されるためには,エビデンスが必要である.例えば,自己決定を促しているのか,自己コントロール感は増進したのか,ジストレスは減ったのか,そして短期的,長期的に効果があるのかなどについて検証が必要である.
遺伝カウンセリング研究は北米でも,決して長い歴史はない.研究のテーマは,上のように診療の実践に限っても非常に多彩である.かつ,診療面のみならず,制度,ELSI,専門職としてアイデンティティや社会や一般住民に関わる啓発・教育についてもテーマがある.また,研究手法も多彩である.量的,質的アプローチ,そして仮説生成に有用なシステマティック・レビューも広く用いられている.N数が少なく症例報告や記述的研究も重要である.
我が国でも,認定遺伝カウンセラー主導による研究が実施されつつある.従来,遺伝カウンセラー養成課程においては,修士研究を求めている.2015年のACGCに沿って本年,改定された我が国の認定遺伝カウンセラー到達目標に「研究プロセス」について掲載された.今後は,医療における必須な診療行為として公的な認知の為にも遺伝カウンセリング研究は必要である.内外の研究の実態を紹介しながら討論し整理する.
この遺伝カウンセリングが,医療の枠組みで,クライエントにとって,また社会にとって,あまねく有益な医療行為として認知されるためには,エビデンスが必要である.例えば,自己決定を促しているのか,自己コントロール感は増進したのか,ジストレスは減ったのか,そして短期的,長期的に効果があるのかなどについて検証が必要である.
遺伝カウンセリング研究は北米でも,決して長い歴史はない.研究のテーマは,上のように診療の実践に限っても非常に多彩である.かつ,診療面のみならず,制度,ELSI,専門職としてアイデンティティや社会や一般住民に関わる啓発・教育についてもテーマがある.また,研究手法も多彩である.量的,質的アプローチ,そして仮説生成に有用なシステマティック・レビューも広く用いられている.N数が少なく症例報告や記述的研究も重要である.
我が国でも,認定遺伝カウンセラー主導による研究が実施されつつある.従来,遺伝カウンセラー養成課程においては,修士研究を求めている.2015年のACGCに沿って本年,改定された我が国の認定遺伝カウンセラー到達目標に「研究プロセス」について掲載された.今後は,医療における必須な診療行為として公的な認知の為にも遺伝カウンセリング研究は必要である.内外の研究の実態を紹介しながら討論し整理する.