講演情報
[S6-1]Photo-Isolation Chemistryを用いた局所的なトランスクリプトーム解析
○沖 真弥 (京都大学大学院 医学研究科 創薬医学講座)
多細胞生物の個体は様々な組織や細胞タイプから構成され、その多様性は空間的な遺伝子発現によって規定される。我々は空間的な遺伝子発現を高精細に理解するため、光学と化学を融合した新規ゲノミクス技術、photo-isolation chemistry(PIC)を開発した。これは、興味のあるエリアに特定波長の光を照射すると、その照射領域だけの遺伝子発現プロファイルを引き出せる。これにより、脳やマウス胚における微小組織から、細胞内に存在するサブミクロンレベルの構造体に至るまで、局所的なトランスクリプトーム情報の高深度解析に成功した。また最近、一級アミンを含む溶液で加熱することにより、ホルマリン固定した組織の凍結およびパラフィン切片の解析にも成功した。本技術はあらゆる組織の局所的かつ高深度トランスクリプトーム解析に活用でき、さらに臨床組織の病理診断への応用が期待される。