講演情報
[S6-4]翻訳網羅解析
○岩崎 信太郎1,2 (1.理化学研究所開拓研究本部, 2.東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻)
一般に細胞内のmRNAの量はタンパク質量と相関が高いと考えられがちである。実際に遺伝子発現解析と言うと、mRNA量解析を指すことが多い。しかしながら近年の解析によると、実は細胞内ではmRNA量とタンパク質量の相関は30から40%程度しかないことが分かっており、核酸とアミノ酸の境界をつなぐ「翻訳」の制御が細胞内のタンパク質を決定する重要な要素であることが明らかとなってきた。しかしながら、これまでに翻訳をmRNA網羅的に解析する手法が無かったことからその理解が大きく立ち遅れていた。次世代シークエンサーを利用したribosome profiling法はこの問題を解決する強力な手法として登場した。本シンポジウムではribosome profilingとその改変法の応用によって初めて明らかになった翻訳ダイナミクスの最新知見について紹介する。