講演情報
[S8-1]遺伝学的検査の二次的所見開示における現状と課題
○小杉 眞司 (京都大学大学院 医学研究科 医療倫理学・遺伝医療学)
次世代シークエンサー技術によるゲノム・遺伝子解析の極めて急激な高速化は、多数あるいはすべての遺伝子を一度に解析することを可能としており、日常診療にもその技術が応用されてきている。遺伝学的検査の実施に当たっては、日本医学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」がその基本となるが、多数あるいは網羅的遺伝子の解析という観点から、従来の少数の目的遺伝子を解析する場合に加え新たな考え方や体制が求められている。
また、がん細胞のゲノム・遺伝子検査は、本質的には、ヒト体細胞遺伝子の検査であるが、 生殖細胞系列の遺伝子変異(病的バリアント)が同定されることが日常診療でも発生する状 況となっており、いわゆる二次的所見に対する具体的な対応方針を整備する必要がある。 さらには、分子標的治療薬や酵素補充療法などの新しい効果的な治療薬が次々と利用可 能となっているが、対象分子の遺伝子の状態を正確に把握することが必要である場合が多 い。このようなゲノム・遺伝子解析技術と治療薬の進歩は、人類共通の財産でもあり、それらを適切に結びつけるゲノム情報を用いた医療(ゲノム医療)の実用化が急務で、患者家族 も含めたできるだけ多くの人々が、十分な理解の上で、その恩恵を受けることができること が求められる。
上記のような背景から、「ゲノム医療における情報提供プロセスに関する提言」および「ゲノム医療におけるコミュニケーションプロセスに関するガイドライン」(https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20211020-01.html
)を策定し、公開してきた。この中で特に重要であるのが二次的所見の取り扱いであり、その概説を行う。
また、がん細胞のゲノム・遺伝子検査は、本質的には、ヒト体細胞遺伝子の検査であるが、 生殖細胞系列の遺伝子変異(病的バリアント)が同定されることが日常診療でも発生する状 況となっており、いわゆる二次的所見に対する具体的な対応方針を整備する必要がある。 さらには、分子標的治療薬や酵素補充療法などの新しい効果的な治療薬が次々と利用可 能となっているが、対象分子の遺伝子の状態を正確に把握することが必要である場合が多 い。このようなゲノム・遺伝子解析技術と治療薬の進歩は、人類共通の財産でもあり、それらを適切に結びつけるゲノム情報を用いた医療(ゲノム医療)の実用化が急務で、患者家族 も含めたできるだけ多くの人々が、十分な理解の上で、その恩恵を受けることができること が求められる。
上記のような背景から、「ゲノム医療における情報提供プロセスに関する提言」および「ゲノム医療におけるコミュニケーションプロセスに関するガイドライン」(https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20211020-01.html
)を策定し、公開してきた。この中で特に重要であるのが二次的所見の取り扱いであり、その概説を行う。