講演情報
[S05P-01]大分県滝上地熱フィールドにおける地熱坑井内のDASを用いた地熱探査
*笠原 順三1,2、羽佐田 葉子2,3、古谷 茂継5、島﨑 壮大5、三ケ田 均4、大沼 寛2、藤瀬 吉博6 (1. 静岡大学防災総合センター、2. エンジニアリング協会、3. 大和探査技術、4. 京都大学工学研究科、5. 出光興産、6. WELMA)
はじめに 著者らは地熱坑井内に設置した光ファイバーを用い、分布型音響センサー(DAS)により地熱フィールドの地熱構造を調べる研究を行っている。過去、鹿児島県メディポリス、秋田県大沼、北海道森、秋田県澄川の地熱発電所の地熱坑井を用いてDASによる地熱探査を行ってきた。2022年5月大分県九重町の出光大分地熱(株)所有の滝上蒸気生産井(TP-2)を用いて地震探査を行った。TP-2坑井内の深さ2000 ⅿにまで光ファイバーを挿入した。結果 坑井内の光ファイバーを用い分布型温度センサー(DTS)により温度の測定を行った結果、坑底付近では226℃であった。坑口からの深さ1000 m~1400 mは温度が緩やかに上昇し、これはシール層のもとになる粘土鉱物の脱水の程度を示唆すると考えられる。また、」滝上発電所周辺で12か所において起振機により地震波を発生させた。これによるDASデータと地上地震計波形記録を用い地震波速度構造を求めた。結果 滝上バイナリ―発電所(生産1号基地)の付近を通るほぼ南北走向の垂直断層により東西で速度構造が異なる地下構造と解釈できることが分かった。これは重力分布と地熱坑井により得られている地質構造(竹中ほか、1995)と整合的である。断層の落差は1 kmに及ぶ。DASの波形記録には坑口から深さ1000 m付近に阿地原層と滝上層の地層境界が見られる。DASの波形記録から反射波を抽出しマイグレーション処理を行った。その結果、深さ約1 kmの反射波は非常に強いが、場所によりその反射強度は異なる。より深部の反射波は主に坑口の南西に位置している。深部の反射波は岩相の違いによるのではなく、断裂中の流体含有率の違いに起因するのかもしれない。DAS、地上地震計には阿蘇、大分を震源とする自然地震が記録された。いくつかの地震ではDAS記録中にS波も記録されており、S波の到着の前にP波の速度で伝わる波群が複数見られる。これらは地中でS波からP波へ変換した波(sP変換波)と解釈される。この変換を生じた深さは2.5 kmおよび1 km付近であると考えられる。この深さはDAS反射波のマイグレーション結果に見られる反射波の位置と一致する。地表地震計の上下動、水平動にもこれに対応するsP変換波がみられる。謝辞 本研究はNEDO超臨界地熱開発技術事業の一環として行った。謝意を表する。また、本調査にTP-2地熱坑井の使用と滝上地熱フィールドでの調査にご協力いただいた出光興産(株)、出光大分地熱(株)及びグループ各社に感謝を表する。調査にご協力をいただいた(株)WELMA、応用地質(株)、(株)阪神コンサルタンツに感謝する。
