講演情報
[S21-04]複数観測点の波形を用いた地震検出手法:観測点ごとに得られた深層学習による検出結果の統合
*徳田 智磯1,2、長尾 大道1,2 (1. 東京大学地震研究所、2. 東京大学大学院情報理工学系研究科)
近年、従来のSTA/LTA法に代わる地震検出法として深層学習に基づく検出手法が注目されている。ニューラルネットワークのもつ優れた表現能力によって、深層学習モデルは的確に波形データの特徴を捉え、精度よく地震を検出することができる。深層学習モデルを用いた地震検出のさらなる拡張として、複数観測点で得られた波形データに対する適用が考えられる。複数観測点で得られた波形データを相補的に活用することにより、地震検出能力がさらに向上するものと期待される。複数観測点の波形データから地震を検出する一般的な方法は、観測点ごとにP波、S波到達時間を評価し、検出結果を矛盾なく説明する震源をグリッドサーチによって精査する手法である。こうした手法は深層学習モデルによる地震検出結果に対しても適用することが可能であり、様々な調査・研究で用いられている。しかし、このようなグリッドサーチによる相組み合わせ探索を効果的に行うには、時間窓内のP波、S波検出数の閾値、グリッドサイズ等を適切に設定する必要があり、その設定は必ずしも容易ではない。本研究では、グリッドサーチを用いることなく、複数の観測点から得られる地震検出結果を簡素でかつ効果的に組み合わせて、地震検出を行う新しい手法を提案する。具体的には、時間窓に対して、観測点ごとのP波、及びS波検出確率の最大値に基づいて地震検出傾向を示す「スコア」を定義し、地震検出を行う。地震、及びノイズを含む連続波形に適用した際にスコアの分布が地震・ノイズに二極化するという仮定を用いて、スコア算出に最適な観測点数、及び閾値を教師なし学習法(ラベル付データを必要としない)の枠組みで自動的に決定する。尚、P波、及びS波検出確率の評価には学習済み深層学習モデルを用いる。実データへの応用として、首都圏地震観測網(MeSO-net)から得られた1週間分の波形データに提案手法を適用した。その結果、提案手法は都市生活に起因するノイズの影響を受けず、効果的に地震を検出できることがわかった。
