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[S-O-1][Invited] Offshore geological structure and active faults around the Noto Peninsula

*Yukinobu OKAMURA1, Takahiko INOUE1, Tomoyuki SATO1, Takashi OGAMI1, Jun ARIMOTO1 (1. AIST)
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Keywords:

Noto Peninsula Earthquake,active fault,Japan Sea,basin inversion,Late Cenozoic

能登半島とその周辺の地質構造は,漸新世から前期中新世の日本海形成,中新世末の南北圧縮,第四紀の北西―南東圧縮の3回の構造運動の影響を強く受けている.能登半島の原型は日本海の形成時に作られた.半島とその北側の水深百m数の台地状の地形が一体となっているが,その北側の大和海盆や東側の富山トラフは水深が1,500m以上あり,海洋性地殻あるいは半海洋性地殻からなると推定されている.また半島の南側にもかなり深い盆地が形成されたことはわかっている.一方,能登半島には中生代の深成岩や変成岩がわずかに露出しており,大陸性地殻からなることを示している.能登半島と周辺の沈降域との境界には,北東―南西,南北や東西など,方向の異なる正断層が形成された可能性がある.また大陸性地殻からなる能登半島とその周辺にも,数列の北東―南西方向及び東西方向の正断層とリフトが形成された.中新世末の南北圧縮は西南日本弧の日本海側で宍道褶曲帯を形成した.この時期の褶曲は日本海形成時の正断層が逆断層として再活動することによって成長したと考えられ,能登半島内及び西方沖の海底下に分布しており,ほぼ東西方向の軸を持つ隆起帯を形成することが多い.能登半島北岸もこの時期に隆起した.この変動は広域的な隆起を伴い,能登半島とその周辺に広く浸食平坦面が形成されたが,鮮新世以降,徐々に沈降した.更新世の中頃になって東―西から北西―南東圧縮が優勢になり,主に北東―南西方向に伸びる逆断層が成長し始め,現在の活断層になっている.それらも日本海形成時の正断層が逆断層として再活動している可能性が高いが,後期中新世の構造と一致しないこともある.海域の高分解能反射探査に基づいて,能登半島の北岸沖には南東傾斜の逆断層が形成されており,海底では最終氷期の侵食面や完新世の地層中を変形させていることが知られていた1).この断層は能登半島周辺の活断層の中で最も活動的と考えられ,さらにその南西側および北東側に活断層が断続的に連なっている.令和6年能登半島地震に伴う地震活動,地殻変動,津波の観測データから,この半島北岸沖の活断層とその周辺の活断層の変位が地震の主な原因と推定されていた.さらに地震後の高分解能反射探査によって,地震前に知られていた能登半島北岸沖の活断層が,ほぼ全域で地震によって変位したことが確認され, 2007年能登半島地震の地震断層にも新たな変位も認められた.令和6年能登半島地震発生前の2014年には,日本海で収集されてきた各機関の反射探査断面などに基づいて,主要な活断層のマッピングとそれらの活動によって発生する可能性のある最大クラスの津波想定が公表された2).能登半島北岸沖では長さ94㎞の断層によってマグニチュード7.6の地震が発生すると想定され,地震前には詳しい津波の浸水域も公表されていた.令和6年能登半島地震によって発生した津波の浸水域は,能登半島東部では想定内であった.一方で地震活動は約150㎞の範囲に広がり,事前に想定されていた断層を超えている.本講演では,今回の地震に関する観測結果と海底活断層の調査結果を比較し,活断層に基づいた地震想定の課題を議論する. 1)井上卓彦・岡村行信 (2010) 数値地質図S-1, 地質調査総合センター.2)日本海における大規模地震に関する調査検討会(2014)日本海における大規模地震に関する調査検討会報告書.

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