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[S-O-4][Invited] Structural characters of nearshore active faults based on active tectonics and crustal structures in the eastern Sea of Japan

*Tatsuya ISHIYAMA1, Tetsuo No2, Hiroshi Sato1,3 (1. Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, 2. Research Institute for Marine Geodynamics, Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 3. Center for Integrated Research and Education of Natural Hazards, Shizuoka University)
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Keywords:

2024 Noto-hanto earthquake,Sea of Japan,offshore active fault,active tectonics,seismic exploration

令和6年能登半島地震(M7.6)は,2024 年1月1日16時10分に石川県能登地方の深さ約15 kmの上部地殻内で発生した、北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型の地震である(地震本部, 2024a).また,能登半島北岸の広域で顕著な海岸隆起(立石ほか,2024)・地殻変動(国土地理院, 2024)を伴ったことから,能登半島沖に分布する複数の海底活断層(井上・岡村, 2010)が活動したものと見られる(地震本部, 2024b).本発表では,日本海東部の地殻構造と中新世以降の構造発達史および能登半島・富山トラフ周辺の活構造を概観・検討し,能登半島周辺域のアクティブ・テクトニクス・海底活断層および地殻構造の関係を検討した.地殻構造探査の結果(野ほか, 2014; Ishiyama et al., 2017など)によれば,中新世の日本海拡大の際に活動した日本海東部のリフト構造は,日本海盆の海洋地殻よりなる日本海盆型(No et al., 2014)と,やや厚い海洋地殻よりなる大和海盆型(Sato et al., 2014),海洋地殻を伴わず、高速度下部地殻が発達する富山トラフ型(Ishiyama et al., 2017)に大別される。このうち,日本海盆の海洋地殻と島弧側大陸地殻との遷移部は1983年日本海中部地震(M7.7)の震源域に一致しており(No et al., 2014),震源域上方延長には非常に水平短縮量が大きい衝上断層が顕著に発達する(Ishiyama et al., 2024).一方,富山トラフ下では高速度下部地殻とトラフ両側の大陸地殻は境界断層で接する.これらの境界断層やリフト軸外側の大陸地殻内部に形成された正断層の一部は第四紀の東西圧縮応力場のもとで逆断層として再活動をしていると考えられる.また,富山トラフ両側の境界断層の活動は、能登半島中部の南東側斜面の海成段丘面群(小池・町田編,2001)の傾動や、飛騨山地北西麓部の河成段丘面群の増傾斜等の活構造の形成・成長に大きく寄与していると考えられる(Ishiyama et al., 2017; Ishiyama et al., 2024).一方,能登半島北岸部には複数段の完新世海成段丘面群が断続的に分布し,これらは過去数千年間に能登半島沖の海底活断層が繰り返し活動してきたことを示唆する(宍倉ほか,2020; 安江ほか,2024).横断する反射断面から,これらの海底活断層は元来リフト軸外側の大陸地殻内部に形成された半地溝構造を構成する正断層群の一部が再活動したもの考えられる(Ishiyama et al., 2017). ただし,再活動した正断層は,必ずしも主断層とは限らず, 累積変位量の小さい断層も含まれると考えられる.従って,令和6年能登半島地震と断層構造の対応づけについては,震源再決定による余震分布を慎重に検討する必要がある.

引用文献
井上卓彦, 岡村行信, 2010, 能登半島北部周辺20万分の1海域地質図及び説明書. 海陸シームレス地質情報集, 「能登半島北部沿岸域」. 数値地質図S-1, 地質調査総合センター.
Ishiyama, T., et al., 2017, Tectonophysics, 710, 21-36.
Ishiyama, T., No, T., and Sato, H., 2024, JpGU 2024 Meeting, U16-04.
地震調査研究推進本部・地震調査委員会, 2024a, https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2024/20240101_noto_3.pdf(2024年2月9日閲覧)
地震調査研究推進本部・地震調査委員会, 2024b, https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2024/2024_04.pdf(2024年5月13日閲覧)
国土地理院, 2024, https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/20240101noto_insar.html (2024年1月19日閲覧)
小池一之, 町田 洋(編), 2001, 日本の海成段丘アトラス. 東京大学出版会, 115p, 3 CD-ROM.
No, T., et al., 2014, Earth and Planetary Science Letters, 400, 14-25.
野 徹雄ほか, 2014, JAMSTEC Rep. Res. Dev., 19, 29–47.
Sato, T., et al., 2014, Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 119(3), 1563-1579.
宍倉正展, 越後智雄, 行谷佑一, 2020, 活断層研究, 53, 33-49.
立石 良ほか, 2024, 日本地球惑星科学連合2024年大会, U15-P83.
安江健一ほか, 2023, 日本地球惑星科学連合2024年大会, U15-P97.

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