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[T13-O-2]Paleoenvironmental changes of the alluvial deposits and the 15th century event deposits in the Ebisawa area, Minamisouma City, Fukushima Prefecture

*Riku Kawasaki1, Yasuhiro Takashimizu2, Atsushi Urabe3 (1. Graduate School of Science and Technology, Niigata Univ., 2. Faculty of Education, Niigata Univ., 3. Disaster and Reconstruction Science Institute, Niigata Univ.)
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Keywords:

Tsunami deposit

はじめに
 古津波堆積物の研究において,堆積当時の古環境を把握することは堆積物の性状を明らかにする上で重要である.現在,東北地方太平洋側では津波堆積物研究が盛んに行われてきた.しかし,その多くが砂丘を越えた沿岸低地を対象と津波堆積物の研究が多く,狭い谷地形を遡上する津波堆積物の詳細な正常についてわかっていないことがある。例えば層厚の変化粒径などである.本研究では沿岸低地側方に連続する丘陵に挟まれた谷地形であり,数キロの距離で標高差が3mほどある地域で遡上した古津波堆積物の性状を明らかにすることを目的としている.津波堆積物が地形・微地形から受ける影響について考察するうえで本研究地域のような特徴的な環境において複雑な津波の波動を観測するには詳細な古環境復元は必要不可欠である.
方法
 対象地域である福島県南相馬市蛯沢にて2022年に掘削を行なったボーリングコア4試料を用いる.肉眼観察に基づいて記載をした。記載は,層相変化,粒度や色調変化,堆積構造,含有物,などに着目しており、後に柱状図を作成した後.その後Yanaco社のCORDER MT-5型・堀場イオウ分析装置(EMIA-120型)を用いて燃焼法でCNS分析を行なった。試料には人工的な耕作土・盛り土を避け,直下の堆積層から選択した.10 cm毎に泥層を採取し,有機処理を行なった後,乾燥させた試料を用いた.
結果
 堆積相区分について主に4つの区分に分けることが出来た.水田土壌堆積物・人工的な盛り土,氾濫原堆積物,塩水湿地堆積物,ラグーン堆積物である。堆積相区分内においては分析結果が古環境復元において一定の環境を示す値となった.またTS分析結果が海成堆積物と示す堆積相には貝化石が埋積しており,観察・記載の結果で示した堆積相区分とCNS分析のデータを比べても整合性のある結果となった.
 掘削したボーリング試料4つの内1つの試料にある地表面から60cmに砂層の厚いイベント堆積物が確認出来た。またイベント堆積物の直上にある泥炭層からサンプルを採取し,放射性炭素年代測定法によって計測を行うと,15世紀頃のイベント堆積物である可能性が出てきた.周辺地域をはじめ東北地方沿岸では2011年の地震と同規模と推定される869年貞観地震による津波堆積物が分布しているが,この2つの巨大地震に挟まれる1454年享徳地震が本研究地域に到来しているのか今後検討を進める.

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