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[T13-P-8]Mineralogical and rock fabric changes in weathering: example of phyllite under subtropical climate

*Tokia YAMAGUCHI1, Kohki YOSHIDA1, Seiji OSAJIMA1 (1. Shinshu Univ.)
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Keywords:

Kunigami Mahji,weathering,soil formation

はじめに:南西諸島の山地,丘陵地,段丘上には,砂岩や頁岩,千枚岩,国頭礫層など非石灰質母材に由来する赤色,黄色を呈する土壌が広く分布し,沖縄地方では古くから“国頭マージ”と呼ばれている[1].現在,沖縄本島において赤土等の流出が問題視されており,これらの問題に関連した国頭マージの物理的,化学的性質について検討されている[2][3].日本における赤色土の起源や生成過程については考察されているものの[4],沖縄県の赤色土に関して,岩石や堆積物が国頭マージに変化する過程の詳細は報告されていない.また,岩石の風化過程について,花崗岩などの火成岩を対象とした諸性質の変化に関する研究は多くなされているが[5][6],千枚岩などを対象とした風化過程の研究は未だ少ない.本研究では,沖縄県国頭郡の白亜系名護層千枚岩を対象とし,その岩石風化過程を露頭規模,薄片規模での観察,XRD分析を用いて明らかにすることを目的とする.
研究手法:風化した千枚岩と礫質堆積物が不整合面を境に接する沖縄県国頭郡東村のアカアササキ露頭(弱~中程度風化)と,沖縄県国頭郡大宜味村の白浜露頭(強風化)をマンセル土色表に基づいた色相で区分し,区分した各層のサンプルについて岩石薄片観察,X線回折分析を行い,岩石組織と含有鉱物の組み合わせや組織の変化を検討した.また,露頭の千枚岩の母材に比較される,大宜味村津波地区で採取した比較的新鮮な名護層千枚岩の試料から,原岩の評価を行った.
風化過程の評価:アカアササキ露頭は沖縄本島の東海岸に位置しており,比較的新鮮な千枚岩が露頭下位から上位に向かって風化し,赤色化する過程が観察できる.これに対し白浜露頭は,標高160mの山地に位置しており,千枚岩とこれを不整合で覆う堆積物が強風化した露頭である.これら2つの露頭に対し,下位から上位への風化状況の変化を記載した.亜熱帯気候条件下での千枚岩の岩石組織の変化として,アカアササキ露頭に見られる初期の風化段階では,片理や割れ目から風化が進んだ後,風化は割れ目よりも片理に制御されていた.続いて片理に関わらず,すべてが均質に風化したのち,赤色化が進行し元の岩石の硬度が失われ脆くなっていた.その後の風化段階を保存する白浜露頭において,千枚岩の片理構造が破壊され,最終的に赤褐色の土壌(国頭マージ)に変化している様子が観察できた.鉱物の変化としては,風化初期に新鮮な千枚岩に含まれていた方解石が消失し,その後長石が変質したものと思われるカオリナイトが生成していた.さらに風化が進むとバーミキュライトが生成し,緑泥石や斜長石の消失が認められた.岩石が赤色化すると針鉄鉱が生成し,カリ長石が消失していた.白雲母もまた消失し,薄片観察において,干渉色の低いイライトやイライト/スメクタイト混合層鉱物へと変化することが認められる.最終的には石英が残り,ギブサイトを含む赤色土壌に漸移していた.
議論:本研究では亜熱帯気候下で強風化を被った千枚岩の風化過程について,岩石組織的,鉱物学的変化をそれぞれ明らかにした.現段階で千枚岩の風化は,割れ目や片理による制御を被っている風化初期からその制御が弱まり,均質に風化したのち最終的に片理構造が分解されることが示唆される.また,鉱物の変化は方解石の消失→カオリナイトの生成→緑泥石や斜長石の消失,バーミキュライトの生成→カリ長石や白雲母の消失,ゲーサイトやイライト,イライト/スメクタイト混合層鉱物の生成→ギブサイトの生成といった過程を辿ったと思われる.しかし,構造的な変化と鉱物的変化,化学的な変化の相互関係は未だ不明瞭である.また,構造的な制御は風化による物理的性質の変化によく反映されることが考えられる.今後,岩石の色や組織,鉱物の変化の他に物理的な特性や化学組成変化について併せて検討し,これらの相互作用について議論する必要があると考える.
引用文献:[1]前島勇治,2016,ペドロジスト,第60巻,第1号,65-70.[2]宮城調勝・近藤 武,1990,農業土木学会論文集,1990巻,第149号,39-44.[3] 翁長謙良・吉永安俊・渡嘉敷義浩,1993,農業土木学会誌,第62巻,第4号,307-314.[4]荒木 茂,1988,ペドロジスト,第32巻,第2号,91-98.[5] 木宮一邦,1975,地質学雑誌,第81巻,第6号,349-364.[6]Nesbitt H.W. and Markovics G,Geochimica et Cosmochimica Acta,1997,Vol.61,No.8,1653-1670.

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