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[T13-P-9]Paleoenvironments suggested by paleosols developed in the Upper Pliocene Hitoyoshi Formation

*Haruki Sugiyama1, Kohki Yoshida1 (1. Shinshu university)
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Keywords:

Pliocene,Sedimentary environment,Paleosol,Hitoyoshi Formation

はじめに:中新世以降,地球全体で中期中新世の温暖期をピークとして,それ以降鮮新世中盤まで温暖期が継続した.この時期は現在よりも2-3℃気温が高いものの,その後の鮮新世末から更新世にかけて急激に寒冷化したとされる(Zachos et al.,2001).鮮新世末以降の急激な寒冷化に伴い大陸の中緯度帯では乾燥化が進み,森林植生から草原植生への変化や,哺乳類の大型化,特殊化が起こるなど,陸上環境は大きく変化した(Juha et al., 2014).寒帯域から亜熱帯域にまで及ぶ日本列島は,鮮新世寒冷化に伴う陸上環境の変化を気候区ごとに復元する上で好適である.本研究では,日本各地に分布する鮮新統の古土壌を用いて古環境復元を行い,当時の陸上環境の包括的復元を目標としている.九州地方の鮮新世の陸上環境の復元をめざして, 人吉盆地西部に分布する上部鮮新統の人吉層下部を対象とした. 人吉層は凝灰岩のK-Ar年代が測定によって,堆積年代が詳細に検討されている.人吉層最下部の船戸凝灰岩部層から2.72±0.25Ma,人吉層最上部の山田凝灰岩から2.58±0.08Maが報告されている(鳥井ほか, 1999).
地質概説:人吉層は四万十帯や肥薩火山岩類を起源とする礫岩・砂岩優勢な下部と,凝灰質泥岩優勢な上部に区分されている(田村ほか, 1962).人吉層下部では林ほか(2007)による堆積相解析が行われており,湖周辺に発達したファンデルタ堆積物であると解釈されている.人吉層上部からはヒシ化石(今西・宮原, 1972),淡水貝化石(田村ほか, 1962),淡水海綿化石(松岡ほか,2006)などの湖沼環境を示す化石が報告されている.
堆積環境と古土壌:堆積相解析の結果,人吉層下部は網状河川堆積物・氾濫原堆積物・沿岸堆積物・デブリフロウ堆積物から構成される.氾濫原を示す細粒な堆積物では細根がよく発達し,土壌化が認められる.本研究地域の古土壌は明灰色もしくはクリーム色を呈し,地下水の影響による,グライ化の特徴を示さない.さらに,軽石や火山ガラスを豊富に含むことから火山灰質土壌であるAndisolの特徴を示す.土層分化を示す層準が局所的に発達しているものの,土壌化の程度は弱く未成熟な土壌である.
議論:Andisolは風化に対する抵抗性が非常に低い火山ガラスを豊富に含むため,比較的短時間で形成される(Shoji et al., 1993).本研究地域の古土壌は,風化しやすい特性を持っているのにも関わらず,土壌としては未成熟なものが発達している. グライ化の特徴を示さないことから,古土壌が形成された層準は適度に乾燥し,土壌化が進行しやすい水分条件であったと言える.そのため,本研究地域に発達する未成熟なAndisolは,鮮新世末期の冷涼な気候条件下で形成されたことを示唆する.
引用文献:林ほか. 2007, 熊本大学教育学部紀要, 56, 71-77. 今西・宮原, 1972, 熊本大学教養部紀要, , 27-31. Juha et al., 2014, Proc. R. Soc. B., 281, 20132049. 松岡ほか, 2006, 豊橋市自然史博物館報, 16, 31-37. Shoji et al., 1993, Developments in Soil Science, 21, 37-71. 田村ほか, 1962, 熊本大教育学部紀要, 10, 49-56. 鳥井ほか, 1999, 地質雑, 105,585-588. Zachos et al., 2001, Science, 292, 686-693.

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