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[T15-P-4]Late Permian radiolarians from Permian accretionary complex in Kotaki area, Itoigawa City, Niigata Prefecture, central Japan

*Ryo URUSHIYAMA1, Atsushi MATSUOKA2 (1. Murao Giken Co., 2. Niigata University)
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Keywords:

Radiolarian fosssil,Late Permian,accretionary complex,Itoigawa,Niigata

新潟県糸魚川市小滝地域にはペルム紀付加体として,主に海山型石灰岩から構成される青海コンプレックス(以下,コンプレックスをCとする)とチャートや砂岩などからなる姫川Cが分布し,両者は秋吉帯に帰属すると考えられている(長森ほか, 2010).この内の姫川Cは,長森ほか(2010)によって,西部,中部,東部ユニット(以下,ユニットをUとする)に細区分されており,西部Uの珪質泥岩や泥岩からはこれまでに,ペルム紀中世の放散虫化石群集が報告されている(例えば,河合・竹内, 2001).一方,中部および東部Uからは,これまで年代決定に有効な放散虫化石はほとんど報告されていない.本研究では,小滝地域に分布するペルム紀付加体の全容を明らかにするために,糸魚川市小滝地域において地質調査を行い,地質図の作成および放散虫化石の抽出を試みた.
 本研究では,小滝川と姫川の出合あたりから北西に向かって細長く分布する蛇紋岩体を境として,西側の地質体を姫川C,東側の地質体を菅沼Cとした.姫川Cは塊状砂岩を主体としてチャートや泥岩などを含む地質体で,菅沼Cは泥岩や砂岩泥岩互層を主体として,チャートや砂岩などを含む地質体である.本研究の姫川Cは河合・竹内(2001)の姫川C西側に,長森ほか(2010)の姫川C西部U西側と小滝川の中部Uに対応する.また,本研究の菅沼Cは河合・竹内(2001)の菅沼Cと姫川Cの東縁に,長森ほか(2010)の姫川C西部Uの東縁,姫川の中部U,東部Uに対応する.
 本研究の調査により,姫川下流域の菅沼集落周辺に分布する菅沼Cにおいて,新たにチャートや珪質粘土岩の分布が明らかになった.チャートは赤色~紫色を呈し,薄片において,微細な石英からなり,石英脈が発達する.珪質粘土岩は灰色~黒色を呈し,薄片において,粘土鉱物の定向配列が確認できる.このうちの黒色珪質粘土岩からは,Albaillella sp. cf. A. yamakitai Kuwahara, Albaillella sp. cf. A. protolevis Kuwahara, Follicucullus porrectus Rudenko, Cariver sp. cf. C. charveti (Caridroit & De Wever), Pseudotormentus kamigoriensis De Wever & Caridroit, Latentifistula texana Nazarov & Ormiston, Latentifistula crux Nazarov & Ormiston, Ishigaum obesum De Wever & Caridroit, Ruzhencevispongus spp.などの放散虫化石群集が産出する.これらの種構成は,Xiao et al. (2018)におけるUAZ13(ペルム紀新世Wuchiapingian期)を特徴づけることから,この黒色珪質粘土岩はペルム紀新世Wuchiapingian期に堆積したと考えられる.
 本研究の姫川Cは,泥岩からペルム紀中世末の放散虫化石群集が報告されている(例えば,河合・竹内, 2001)点で,他地域の秋吉帯ペルム紀付加体と共通している.一方,菅沼Cは,珪質粘土岩からペルム紀新世の放散虫化石群集が産出する点で異なる.西南日本内帯の付加体においてペルム紀新世放散虫化石が報告されているのは超丹波帯(例えば,菅森, 2009)と丹波-美濃-足尾帯(例えば,桑原ほか, 1991)のみであり,秋吉帯からの報告はない.姫川Cと菅沼Cはチャートや陸源性砕屑岩からなる点で共通するが,前者は塊状砂岩を,後者は泥岩や砂岩泥岩互層を主体とする点で異なる.また,前者は比較的整然とした地層から構成されるのに対し,後者は変形が強い層が多く,一部は混在相を呈する.放散虫化石の産出頻度や保存に関しても,姫川Cは多くの地点で産出し,保存も比較的良いのに対して,菅沼Cはほとんどの地点で産出せず,保存も非常に悪い.このように,両者に地質学的な違いが多く見られ,両者が蛇紋岩体によって分断されていることからも,両者は異なる地質体である可能性が高い.菅沼Cは,依然として地質や年代に関してのデータに乏しく,形成年代や地体構造区分上の帰属については,さらに検討が必要である.
文献:河合・竹内, 2001, NOM特別号, no.12, 23–32; 桑原ほか, 1991, 地質雑, 97, 1005–1008; 菅森, 2009, 地質雑, 115, 80–95; 長森ほか, 2010, 小滝図幅, 産総研地質調査総合センター, 130p; Xiao et al., 2018, Earth Sci. Rev., 179, 168–206

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