Presentation Information
[T15-P-5]Detrital zircon U–Pb ages and geochemistry of the Permian clastic rocks on Sado Island, central Japan
*Keisuke SUZUKI1, Toshiyuki Kurihara2, Hirotaka Ishida3, Hayato Ueda2 (1. Geological Survey of Japan, AIST, 1–1–1 Higashi, Tsukuba, Ibaraki 305–8567, Japan, 2. Department of Geology, Faculty of Science, Niigata University, Niigata 950–2181, Japan, 3. Niigata City Office, 1–602–1 Gakkouchodori, Chuo-ku, Niigata, 951-8550, Japan)
Keywords:
Sado Island,Permian,Detrital zircons,Provenance
佐渡島は本州とアジア大陸東縁との間に開いた日本海に位置する離島で,その基盤岩類の地体構造上の帰属については依然として議論がある.例えば,小佐渡丘陵南東縁および大佐渡北縁に分布するペルム紀-ジュラ紀泥岩やペルム紀石灰岩ブロックからは放散虫や紡錘虫などの化石が産出し,それらを基に,佐渡島と西南日本の地帯群(舞鶴帯,黒瀬川帯,超丹波帯,足尾帯)との関連性が議論されている [1–3].しかし,このような化石を産出する岩相・層準は限定的で,佐渡島における基盤岩類の年代・造構場の全体像を理解するにはまだ情報が足りない.
近年,日本を含むアジア大陸東縁域のペルム系砂岩に広く全岩化学分析と砕屑性ジルコンU–Pb年代測定が適用され,後背地-近傍堆積盆の堆積物供給の観点から,東アジアの地質構造発達史の見直しが進められている [4, 5].これらのデータと比較した佐渡島の地質構造発達史を構築するために,演者らは現在,小佐渡丘陵のペルム系砂岩を対象に全岩化学分析と砕屑性ジルコンU–Pb年代測定を進めている [6].本発表では,データの一部を報告するとともに,予察的な議論を提示する.
本研究では,小佐渡丘陵のペルム系砕屑岩から計21試料の砂岩を採取し,全岩化学分析を行った.砂岩は主に石英・長石類を豊富に含む長石質ワッケ~アレナイトで特徴づけられ,SiO2含有量は69–78 wt%の間で変動する.上部大陸地殻のデータで規格化したスパイダー図において,苦鉄質火成岩に濃集するScとNiは枯渇し,主な供給源が珪長質火成岩であることを示唆する.Al2O3を横軸に用いたバイナリー図ではLa,Th,ScとAl2O3との間に正の相関が認められ,これらの微量元素はアルミナ質粘土と密接な関連を持つと予想される.La–Th–Sc図において,試料の大半は花崗岩・珪長質火山岩類が露出した活動的大陸縁~陸弧との関連性を示唆する.また,本研究では,上記試料のうち3試料から砕屑性ジルコンを抽出し,U–Pb年代測定を行った.各試料は270–257 Maの最若ピークを有し,最大堆積年代は中期ペルム紀Roadian–後期ペルム紀Wuchiapingian [7] あるいはそれ以降である.これらの砂岩は,850–750 Ma,510 Ma,450–430 Maなどの古い年代を示す砕屑性ジルコンも豊富に含む.
全岩化学組成・砕屑性ジルコンU–Pb年代の結果を総合すると,小佐渡丘陵のペルム系砂岩の後背地としては,新原生代,カンブリア紀中頃,後期オルドビス紀-シルル紀中頃の各年代を示す花崗岩・珪長質火山岩が露出した陸弧が想定される.演者らは今後,砕屑性ジルコンの供給源となった原岩を探索することで,佐渡島,本州,アジア大陸東縁の後背地変遷上の関連性に着目した包括的な造構場復元に取り組む.
引用文献:[1] 川端・伊藤(1993).大阪微化石研究会誌特別号,9,119–129.[2] 鈴木・桑原(2003).地質学雑誌,109,489–492.[3] 一田ほか(2010).化石,87,29–34.[4] Eizenhöfer and Zhao (2018). Earth Sci. Rev., 186, 153–172. [5] Suzuki and Kurihara (2021). J. Asian Earth Sci., 219, 104888. [6] Kurihara et al. (in press). Rev. Micropaleontol. [7] Gradstein et al. (2020). Geologic time scale 2020. Elsevier, Amsterdam, 1357.
近年,日本を含むアジア大陸東縁域のペルム系砂岩に広く全岩化学分析と砕屑性ジルコンU–Pb年代測定が適用され,後背地-近傍堆積盆の堆積物供給の観点から,東アジアの地質構造発達史の見直しが進められている [4, 5].これらのデータと比較した佐渡島の地質構造発達史を構築するために,演者らは現在,小佐渡丘陵のペルム系砂岩を対象に全岩化学分析と砕屑性ジルコンU–Pb年代測定を進めている [6].本発表では,データの一部を報告するとともに,予察的な議論を提示する.
本研究では,小佐渡丘陵のペルム系砕屑岩から計21試料の砂岩を採取し,全岩化学分析を行った.砂岩は主に石英・長石類を豊富に含む長石質ワッケ~アレナイトで特徴づけられ,SiO2含有量は69–78 wt%の間で変動する.上部大陸地殻のデータで規格化したスパイダー図において,苦鉄質火成岩に濃集するScとNiは枯渇し,主な供給源が珪長質火成岩であることを示唆する.Al2O3を横軸に用いたバイナリー図ではLa,Th,ScとAl2O3との間に正の相関が認められ,これらの微量元素はアルミナ質粘土と密接な関連を持つと予想される.La–Th–Sc図において,試料の大半は花崗岩・珪長質火山岩類が露出した活動的大陸縁~陸弧との関連性を示唆する.また,本研究では,上記試料のうち3試料から砕屑性ジルコンを抽出し,U–Pb年代測定を行った.各試料は270–257 Maの最若ピークを有し,最大堆積年代は中期ペルム紀Roadian–後期ペルム紀Wuchiapingian [7] あるいはそれ以降である.これらの砂岩は,850–750 Ma,510 Ma,450–430 Maなどの古い年代を示す砕屑性ジルコンも豊富に含む.
全岩化学組成・砕屑性ジルコンU–Pb年代の結果を総合すると,小佐渡丘陵のペルム系砂岩の後背地としては,新原生代,カンブリア紀中頃,後期オルドビス紀-シルル紀中頃の各年代を示す花崗岩・珪長質火山岩が露出した陸弧が想定される.演者らは今後,砕屑性ジルコンの供給源となった原岩を探索することで,佐渡島,本州,アジア大陸東縁の後背地変遷上の関連性に着目した包括的な造構場復元に取り組む.
引用文献:[1] 川端・伊藤(1993).大阪微化石研究会誌特別号,9,119–129.[2] 鈴木・桑原(2003).地質学雑誌,109,489–492.[3] 一田ほか(2010).化石,87,29–34.[4] Eizenhöfer and Zhao (2018). Earth Sci. Rev., 186, 153–172. [5] Suzuki and Kurihara (2021). J. Asian Earth Sci., 219, 104888. [6] Kurihara et al. (in press). Rev. Micropaleontol. [7] Gradstein et al. (2020). Geologic time scale 2020. Elsevier, Amsterdam, 1357.
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