Presentation Information
[T15-P-14]Understanding of topography and geological structure based on drone photogrammetry: A case study of the Median Tectonic Line
*Hiroshi Mori1, Makiko Inoue1,2, Ryuta Shukuwa3, Mayumi Mitsuishi3, Yosuke Kimura1,4, Yuho Hayakawa1,5, Kojiro Usui1,6, Kaho Nobuhara1, Tetsuya Tokiwa1 (1. Shinshu University, 2. Kokusai Kogyo Co., Ltd., 3. Goto Metal Mine Co., Ltd., 4. JR Central Consultants Co., Ltd., 5. Chuo Kaihatsu Corporation, 6. Nippon Koei Co., Ltd.)
Keywords:
drone (UAV),photogrammetry,SfM-MVS,DEM,Median Tectonic Line,Mizoguchi outcrop
物性の大きく異なる岩相境界,特に脆性剪断組織の発達した岩石が露出する断層沿いでは,特徴的な地形が形成されやすく,地形判読は,実際の地質調査においても基礎的かつ重要なアプローチとして用いられている.地形情報を取得するための手段の一つとして,写真測量が挙げられる.写真測量に関しては,2010年代に入り,多視点から撮影した複数の画像から,写真の撮影位置と対象物の三次元形状を復元できるSfM-MVS解析が急速に発展したことに加えて,カメラ撮影機能を搭載したドローンの入手・利用が容易になったことで,低価格かつ迅速な空中写真撮影と,それに基づくDEMの作成が可能になった(例えば,早川・小花和,2016;渡邊ほか,2018).そして,SfM-MVSを併用したドローン写真測量の地形解析における安価,迅速,および高空間分解能のメリットは,しばしば地形の急峻な地域の調査を必要とする地質学分野において,非常に有用な手法となることが期待できる.
一方で,ドローン写真測量の地質を対象とした研究例は依然として少ない.また,類似した地質特性であっても,植生や撮影条件の違いなど,様々な要因に依存して得られる情報の精度は変わる.これらを考慮するためには,まずは,同一対象物の多角的解析から最適な撮影・解析条件を探るとともに,ドローン写真測量以外の手法との比較からメリット・デメリットを詳細に洗い出す必要がある.そこで本研究では,日本陸上最大の断層である中央構造線の地形および地質構造境界が良好に観察できる長野県伊那市・美和湖東岸の半島部を対象に,ドローン写真測量技術を用いた地形測量およびDEMの作成を行った.
半島全体を対象とした数百m規模の地形測量では,本研究のドローン写真測量により得られたDEMの分解能は,5–10 mメッシュの公開DEMに比べて,植生に覆われた領域を含めて圧倒的に高精度であった.また,明瞭な岩相境界が露出する溝口露頭においては,航空レーダー測量により作成された0.5 mメッシュDEMよりも高分解能なDEMがドローン写真測量により得られた.これらは,数百m以内の地形解析における,ドローン写真測量の高い有用性を示す.また,DEM解析画像を基に推定された溝口露頭における岩相境界面の姿勢は,ハンディークリノメータを使用して露頭で計測されたものと良く一致する.これは,ドローン写真測量による地質構造解析が現実的に可能であることを示す.本研究結果とともに,費用・持ち運びやすさの利点を加味すると,ドローン写真測量は,しばしば急峻な山岳域といった過酷な環境下での調査を必要とする地質学分野に適した新たなアプローチと言える.
【引用文献】早川・小花和,2016,物理探査,69, 297–309; 渡邊ほか,2018,地質学雑誌,124,643–649.
一方で,ドローン写真測量の地質を対象とした研究例は依然として少ない.また,類似した地質特性であっても,植生や撮影条件の違いなど,様々な要因に依存して得られる情報の精度は変わる.これらを考慮するためには,まずは,同一対象物の多角的解析から最適な撮影・解析条件を探るとともに,ドローン写真測量以外の手法との比較からメリット・デメリットを詳細に洗い出す必要がある.そこで本研究では,日本陸上最大の断層である中央構造線の地形および地質構造境界が良好に観察できる長野県伊那市・美和湖東岸の半島部を対象に,ドローン写真測量技術を用いた地形測量およびDEMの作成を行った.
半島全体を対象とした数百m規模の地形測量では,本研究のドローン写真測量により得られたDEMの分解能は,5–10 mメッシュの公開DEMに比べて,植生に覆われた領域を含めて圧倒的に高精度であった.また,明瞭な岩相境界が露出する溝口露頭においては,航空レーダー測量により作成された0.5 mメッシュDEMよりも高分解能なDEMがドローン写真測量により得られた.これらは,数百m以内の地形解析における,ドローン写真測量の高い有用性を示す.また,DEM解析画像を基に推定された溝口露頭における岩相境界面の姿勢は,ハンディークリノメータを使用して露頭で計測されたものと良く一致する.これは,ドローン写真測量による地質構造解析が現実的に可能であることを示す.本研究結果とともに,費用・持ち運びやすさの利点を加味すると,ドローン写真測量は,しばしば急峻な山岳域といった過酷な環境下での調査を必要とする地質学分野に適した新たなアプローチと言える.
【引用文献】早川・小花和,2016,物理探査,69, 297–309; 渡邊ほか,2018,地質学雑誌,124,643–649.
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