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[J-P-14]Late Magma Differentiation of Bingi Bingi complex, Southeast NSW, Austraria : Based on Oscillatory Zoned Structure of Amphiboles of Granitoids★日本地質学会ジュニアセッション優秀賞★

*Hyogo Prefectural Himejihigashi Senior High School Earth Science Club Magma Group1 (1. Hyogo Prefectural Himejihigashi Senior High School Earth Science Club Magma Group)
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研究者生徒氏名:稲本晴香、陰山麻愉、永野千世、藤田詩桜、松田理沙、村尾倖生、横山桃子、石井漸、岡本莉空、永井翔、中田天晴、中村賢矢、冨士佳蓮、前川司、辻本ゆき乃、西川大貴、藤本知真、山口歩珠

 オーストラリアのニュー・サウス・ウエールズ州南東部沿岸Bingi Bingi Pointは複合深成岩体の一部をなし、古生代デボン紀末期の2種類の異なるマグマが十分に混ざりあうことなく、不完全な混入のようすを残して固結している。筆者らは5日間にわたって露頭調査を行い、岩石分布図を作成するほか岩石試料の採取を行った(図1)。
 本地域は主に閃緑岩からなっており、それをトーナル岩が包み込むように固結している。閃緑岩にはトーナル岩からのびるマグマ残液の支脈が多くみられるほか、トーナル岩中にブロック状や紡錘形に周囲が融解して引き延ばされた形状の閃緑岩の捕獲岩が、2つの岩体の接触面に沿って一方向に配列している。閃緑岩やトーナル岩を同質マグマから生じたアプライト脈が貫入している。最後に玄武岩の貫入が数度起こった。
 トーナル岩からのマグマ残液の支脈の影響を受けている閃緑岩の角閃石の淡緑色リム部から、結晶のc軸方向に発達した波状累帯構造が多数発見された(図2)。波状累帯構造は幅数μm程度の細い帯が波動のように繰り返す構造で、マグマ残液中の熱水によって形成されることが知られている。外側の帯が内側の帯を切るように形成されていることや、異なる角閃石の結晶に平行に連続するような形状で形成されていることから、結晶の外から数度にわたる熱水の循環があったことを示している。波状累帯構造は淡褐色コア部にはみられない。一方、閃緑岩体中央部の角閃石の淡緑色リム部からも波状累帯構造が発見されるが、それらはいびつな形状に発達したパッチー累帯構造の間隙に発達しており、閃緑岩自身の豊富な熱水が激しく循環したことを物語っている。波状累帯構造は淡緑色リム部と自形の磁鉄鉱が共存しているほか、角閃石の外縁部にはスフェーンがみられることから、淡緑色リム部とそこに発達した波状累帯構造は酸化的環境下の熱水残液の循環によって形成されたと考えられる。
 角閃石の波状累帯構造の成分分析の結果は、Ⅰ型Edenite型を中心とした組合せ置換が優勢である。また、マグマ分化過程下で結晶化した角閃石には見られず、マグマの飽和・脱水による熱水残液によって置換された角閃石に特徴的とされる、AlVIが0.6以下の値を示す。そのほかさまざまなイオン置換の特徴は、酸化的環境下における二次再平衡を経験した深成岩類と共通であり、角閃石のリム部がさまざまな激しさの熱水残液循環の影響を受け、波状累帯構造やパッチー累帯構造を形成したと考えられる。西南日本における先行研究において、角閃石の波状累帯構造が二次的な熱水残液の循環によって形成されたことが示されており1)2)、本研究においても、角閃石の波状累帯構造はマグマ分化過程末期の環境を示す指標になる。

1) Kawakatsu,K. and Yamaguchi,Y.(1987)Geochim.Cosmocim.Acta.Vol.51, 535-540.
2) 兵庫県立姫路東高等学校科学部(2023)日本地質学会第130 年学術大会(2023京都大会)要旨

キーワード:熱水残液、波状累帯構造、パッチー累帯構造、組合せ置換、サブソリダス

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