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[T18-O-3]Heterogeneity of the crustal deformation associated with 2024 Noto Peninsula Earthquake –Comparison of geomorphological survey and geodetic data-

*Tomohiro TSUJI1, Yuya Yamada1 (1. Yamaguchi University)
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2024 Noto Peninsula Earthquake

はじめに2024年1月1日16:10頃に発生した令和6年能登半島(Mw7.5,最大震度7)では,輪島市西部で最大約4 mの隆起,最大約2 mの西向きの変動,珠洲市北部で最大約2 mの隆起,最大約3 mの西向きの変動が認められた(国土地理院2024).これらの隆起量と西向きの変動量には不均質が認められる.本研究では,2016年能登半島地震による地殻変動の不均質を理解する目的で,能登半島東部~西部にかけて地表変状に関する地形地質調査および海岸における隆起量の測定を実施した.これらの結果をSAR(国土地理院,2024),レーザー測量による解析結果(国際航業,2024),発震後の空中写真判読結果と比較した. 2.結果2.1. 珠洲市北部の西進地域周辺珠洲市真浦町漁港は、SARによる解析にて珠洲市北部にて大きな隆起と西進(最大約3 m)が認められた地域と、その西側で変動の小さかった地域との境界部にあたる.現地では東から西に注ぐ谷を調査した.その結果、谷の左岸側に約300 mにわたり断続的に線状の地表変状が認められた.港湾付近では走向N70°E,15 cmの左横ずれ,30 cmの北側低下,約60 m東では走向N72°E,40 cmの左横ずれ,20 cmの北側低下,約300 m東では走向N38°E,60 cmの左横ずれ,50 cmの北側低下が計測された. 珠洲市折戸町はSARによる解析にて大きな西進が認められた地域の南東部にあたる.発震後の空中写真では,珠洲市折戸町灰庭の北東-南西方向の尾根部付近の畑にて全長約1.2 kmにわたり,断続的に分布する多数の線状の地表変状が判読された.現地調査の結果,畑,畔,道路およびその周辺にてその一部が確認され,連続的な線状の地表変状として150 m程度追跡された.この線状の地表変状上にて走向N74°E,40 cmの南側隆起,20 cmの右横ずれが計測された.これは谷側(南側)が隆起する成分で,逆向きの低崖をなしている.ここより約100 m西では開口成分を伴う3本の線状の地表変状(合計で44 cm南側隆起)が認められた.これらの地表変状から約450 m北の畑にも,発震後の空中写真により東北東-西南西方向の線状の地表変状が大きく2条判読された.西部のものは全長約250 m,東部のものは全長約200 mである.両者は大局的には同一の直線上に分布しており,全長約900 mである.現地では,耕作されて消失した畑を除き,西端から東端まで走向N40~60°E,10~50 cmの北側隆起の地表変状が確認された.西端部では走向N57°E,約70°S,50 cmの北側隆起,50 cmの右横ずれが計測された.畑の西側の北流する谷にて北側隆起により小規模な湿地が出現していた. 輪島市西部の西進域周辺2.1. 輪島市光浦町 だいち2号観測データの解析(国土地理院,2024)によると,本地域は輪島市西部の大きな隆起および西進地域の東端より東側に相当するが、その中でも輪島市光浦町竜ヶ崎は周囲より隆起量が大きい.現地調査の結果,海岸の隆起量は光浦トンネル東出口にて0.9 m、竜ヶ崎にて1.4 m、輪島市東部ダルマ瀬付近にて1.2 mの隆起が認められた. 2.2. 輪島市長井町~縄又町航空レーザー計測の解析結果(国際航業,2024)によると,輪島市長井町から門前町中屋にかけて北東方向に複数の線状の隆起が認められる.現地調査の結果,輪島市長井町の水田および道路に雁行する2列の背斜構造が認められた.北西側のものはN43°E,南東側のものはN37°Eの方向に隆起軸を有し,隆起量は20 cm程度,北側のものは半波長約15 mであった.同様に,輪島市縄又町の国道249号線にて走向N52°E程度,約20 cm北西側隆起の撓曲が認められた. 考察 珠洲市真浦町の谷沿いに発達した左横ずれ変状は地震断層である可能性がある.これらの変状は,本谷沿いより北側の地殻が相対的に西進した可能性を示すものであり、SARによる広域的な地殻変動と調和的である. 珠洲市折戸町における右横ずれ変状は地震断層である可能性がある.これらの変状は、北側が相対的に東に移動したことを示唆するものであり、SARによる広域的な地殻変動とは整合しない可能性がある. 輪島市光浦町における隆起量の変化はだいち2号観測データの広域的な傾向と調和的であるが、ダルマ瀬付近の隆起量が想定よりも大きい.輪島市長井町~縄又町におけるこれらの変状は航空レーザー計測の上下変位分布図(国際航業,2024)に認められる全長数kmに及ぶ線状の隆起と一致する.能登半島の北西側隆起に伴い,地盤の弱部に生じた圧縮性の背斜と考えられる. 引用文献国土地理院 (2024a),https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/20240101noto_insar.html 国際航業株式会社 (2024): 航空レーザー計測成果を用いた数値地形解析結果【速報】(能登地域:西部).

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