Presentation Information
[T18-O-9]UAV LiDAR measurement survey in the Uchinada area of Ishikawa Prefecture during the 2020 Noto Peninsula Earthquake
*Chiharu NAKASE1, Takashi Hosoya1, Noritaka Endo2, Robert G. Jenkins2 (1. Chuo Kaihatsu Corporation, 2. Kanazawa University)
Keywords:
The 2024 Noto Peninsula Earthquake,dune deposits,liquefaction,disaster investigation,embankment
2024年1月1日に石川県能登半島を震源とした能登半島地震では,広い地域で多数の人的,家屋被害が発生した.石川県内灘地区においては,同程度の震度を観測した周辺の地域と比べて,家屋倒壊や道路の崩壊などの被害が顕著であった.そこで本研究では,被害状況の把握のため,内灘地区周辺においてUAV LiDAR計測を実施し,詳細な地形データを取得した.また,取得した地形データと地震発生前の地形データを比較することで,地震動によって生じた変状の検出を試みた.
内灘地区は,日本海沿いに発達する内灘砂丘の内陸側砂丘麓に位置する細長い形状を示す住宅地である.内灘砂丘の内陸側にはかつては潟湖(河北潟)が分布していたが,昭和38~46年の干拓事業において干拓が進められ,現在の姿となっている.被害が集中した地区は内灘砂丘と干拓地の境界付近に位置しており,今回の地震では,住宅地の中を走る県道8号線沿いを中心に,道路の破損や家屋倒壊,沈下などが多数発生した.公園や水田などの未舗装地では噴砂が多数確認されており,道路アスファルトの亀裂からも砂の噴出が見られている.また,塀の一部や家屋が水平方向に移動している様子も確認されている.
内灘地区で噴砂が発生した箇所について粒度分析を実施した結果,均等係数Uc=2.15程度の細砂~中砂を主とした均質な砂であることが判明した.内灘地区には広く砂丘堆積物が分布し,その砂は液状化が生じやすい粒度分布を持っており,地震動によって液状化が生じたことが被害の誘因であると考えられる.
地震による被害状況を把握するため,地震発生後(2024年1月30-31日)に内灘地区においてUAV LiDAR計測を実施し,詳細な地形データを取得した.取得した地形データからは,住宅地全体が内陸側に緩く傾斜していることが読み取れる.さらに,地震による変状を把握するために,得られた地形データと地震発生前の地形データとの比較を行った.地震発生前の地形データは国土地理院の数値標高モデル(2016年10月1日計測)を使用した.その結果,砂丘に並行に帯状の沈降・隆起が生じていることが判明した.特に顕著な隆起は県道8号線沿いに生じており,幅10m,最大1 m程度の帯状隆起が連続して認められた.また,隆起部に隣接する斜面側は帯状に沈降していた.一方,河北潟側に広がる水田では,一様に広範囲が0.5 m程度沈降していることが明らかとなった.
県道8号線沿いの隆起・沈降帯は,一部を除いて人工改変前(砂丘を人工的に切り崩す前)の砂丘の位置より河北潟側に分布していた.現在緩傾斜地になっていることから,かつての砂丘より河北潟側では,砂丘を切り崩した後に盛土造成を行っている可能性が高いと考えられる.また,地震発生時には水の噴出が確認されたことから,地下水位が高く,地盤が悪い状態にあったことが想定される.地形断面図より,隆起部は盛土の端部が押し出された結果と想定でき,盛土の端部に沿って道路が建設されていることから,道路がダムの役割をし,流動してきた土砂を受け止めてしまったことで,大きく隆起した可能性がある.また,砂丘跡に建設された小学校校庭には,開口亀裂が生じ,土塊の内陸側への水平移動と沈下が見られた。盛土の端部(人工改変前の砂丘端部)が流失したことで,その背後地がブロック状に斜面下方(内陸側)へと水平移動したと推測できる.本調査で計測した地震直後の地形データが,今後の災害復旧,被害発生のメカニズムについての調査・解析に貢献することが期待される.
内灘地区は,日本海沿いに発達する内灘砂丘の内陸側砂丘麓に位置する細長い形状を示す住宅地である.内灘砂丘の内陸側にはかつては潟湖(河北潟)が分布していたが,昭和38~46年の干拓事業において干拓が進められ,現在の姿となっている.被害が集中した地区は内灘砂丘と干拓地の境界付近に位置しており,今回の地震では,住宅地の中を走る県道8号線沿いを中心に,道路の破損や家屋倒壊,沈下などが多数発生した.公園や水田などの未舗装地では噴砂が多数確認されており,道路アスファルトの亀裂からも砂の噴出が見られている.また,塀の一部や家屋が水平方向に移動している様子も確認されている.
内灘地区で噴砂が発生した箇所について粒度分析を実施した結果,均等係数Uc=2.15程度の細砂~中砂を主とした均質な砂であることが判明した.内灘地区には広く砂丘堆積物が分布し,その砂は液状化が生じやすい粒度分布を持っており,地震動によって液状化が生じたことが被害の誘因であると考えられる.
地震による被害状況を把握するため,地震発生後(2024年1月30-31日)に内灘地区においてUAV LiDAR計測を実施し,詳細な地形データを取得した.取得した地形データからは,住宅地全体が内陸側に緩く傾斜していることが読み取れる.さらに,地震による変状を把握するために,得られた地形データと地震発生前の地形データとの比較を行った.地震発生前の地形データは国土地理院の数値標高モデル(2016年10月1日計測)を使用した.その結果,砂丘に並行に帯状の沈降・隆起が生じていることが判明した.特に顕著な隆起は県道8号線沿いに生じており,幅10m,最大1 m程度の帯状隆起が連続して認められた.また,隆起部に隣接する斜面側は帯状に沈降していた.一方,河北潟側に広がる水田では,一様に広範囲が0.5 m程度沈降していることが明らかとなった.
県道8号線沿いの隆起・沈降帯は,一部を除いて人工改変前(砂丘を人工的に切り崩す前)の砂丘の位置より河北潟側に分布していた.現在緩傾斜地になっていることから,かつての砂丘より河北潟側では,砂丘を切り崩した後に盛土造成を行っている可能性が高いと考えられる.また,地震発生時には水の噴出が確認されたことから,地下水位が高く,地盤が悪い状態にあったことが想定される.地形断面図より,隆起部は盛土の端部が押し出された結果と想定でき,盛土の端部に沿って道路が建設されていることから,道路がダムの役割をし,流動してきた土砂を受け止めてしまったことで,大きく隆起した可能性がある.また,砂丘跡に建設された小学校校庭には,開口亀裂が生じ,土塊の内陸側への水平移動と沈下が見られた。盛土の端部(人工改変前の砂丘端部)が流失したことで,その背後地がブロック状に斜面下方(内陸側)へと水平移動したと推測できる.本調査で計測した地震直後の地形データが,今後の災害復旧,被害発生のメカニズムについての調査・解析に貢献することが期待される.
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