Presentation Information
[T8-O-1]Middle and Late Pleistocene tephrostratigraphy of borehole core GS2012-OMY in the central Kanto Plain
*Hiroomi NAKAZATO1, Keiya YONEOKA1, Kentaro SAKATA1, Tsutomu NAKAZAWA1, Masayuki YOSHIMI1 (1. GSJ,AIST)
Keywords:
Pleistocene,Shimosa Group,tephra,borehole core,Kanto Plain
都市域の地盤を構成する第四系については,層相分布の把握が地震防災や地下水流動の評価等において重要である(米岡ほか,2024など).都市域では多くの場合ボーリングデータから堆積サイクルを読み取り,岩相層序学的に堆積サイクル境界を追跡して地質構造を明らかにしていくが,その妥当性を検証するためにはコアが採取されたボーリングについて,テフラや微化石の分析を行い,時間目盛りを入れることが必要となる.本発表では埼玉県さいたま市見沼区深作で掘削されたGS2012-OMY孔(吉見ほか,2014)のコアのテフラ層序について報告する.
GS2012-OMY孔(掘進長150m,サンプリング径116mm)は,既往調査により層序の概要が把握されている深作A-1孔(掘進長300m;埼玉県,1996;本郷・水野,2009)の約700m北西に位置し,土質試験試料採取と地震計設置を目的に掘削されたオールコアボーリングである.両孔は大宮面上から掘削されており,深作A-1孔では関東ロームからAT,深度36.3mの堆積物からは下総層群清川層の指標テフラKy3(TB-8)が検出され(埼玉県,1996),深度125m付近ではアカガシ花粉の多産層準が検出された(本郷・水野,2009).また中澤・遠藤(2002)および中澤・中里(2005)は,埼玉県(1996)が礫層下限を境界として区分した深度150mまでのA~D層を,堆積サイクルの認定と周囲からの層序の追跡により,上位からA,B層は下総層群大宮層~清川層,C層は上泉層及び藪層,D層は地蔵堂層と対比した.
GS2012-OMY孔では含まれる化石や堆積相に基づき上位から①~⑥の堆積サイクルが認定され,深作A-1孔と比較すると①は大宮層,②は木下層上部,③は清川層,④は上泉層,⑤は藪層,⑥は地蔵堂層に相当する.コアでは47層準で火砕物の濃集層準が見られ,斑晶鉱物及び火山ガラスの屈折率に基づき,既往のテフラと対比を検討した.その結果,本コアではKy3は検出されない一方,表1に示す対比が明らかになった.
SgP.1(鈴木・早川,1990)は下位の細粒テフラがAso-1である可能性があり(矢口1999),上位にAta-Thがあることから下総層群ではKm1テフラ群の層準に相当し,上泉層下部を示すと考えられる.SgP.1に類似する特性を示すテフラは深作A-1孔の深度69.40-69.50mにも確認された.UR1-No.8(中澤・中里,2005)はGoP1(町田ほか,1974)とは屈折率特性の異なるカミングトン閃石に富む特徴をもち、米岡ほか(2023)により大宮台地北西部のボーリングコアからも報告されていることから,関東平野中央部の藪層の指標テフラとして重要である.
これらのテフラの認定により,従来よりも上泉層と藪層の層位が明確となり、関東平野中央部における下総層群の層序区分の精度向上に資することが期待される。
文献 本郷・水野(2009)地質調査研究報告,60,559-579;町田ほか(1974)地学雑誌,83,302-338;中澤・遠藤(2002)大宮地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),産総研地質調査総合センター;中澤・中里(2005)地質学雑誌,111,87–93;埼玉県(1996)埼玉県活断層調査報告書,200p;鈴木・早川(1990)第四紀研究,29,105–120;矢口(1999)群馬県埋蔵文化財調査事業団研究紀要,16,61–90.;米岡ほか(2023)日本地質学会第130年学術大会講演要旨,T16-O-3;米岡ほか(2024)地質学雑誌,印刷中;吉見ほか(2014)地質調査総合センター速報,no.66,185–205
GS2012-OMY孔(掘進長150m,サンプリング径116mm)は,既往調査により層序の概要が把握されている深作A-1孔(掘進長300m;埼玉県,1996;本郷・水野,2009)の約700m北西に位置し,土質試験試料採取と地震計設置を目的に掘削されたオールコアボーリングである.両孔は大宮面上から掘削されており,深作A-1孔では関東ロームからAT,深度36.3mの堆積物からは下総層群清川層の指標テフラKy3(TB-8)が検出され(埼玉県,1996),深度125m付近ではアカガシ花粉の多産層準が検出された(本郷・水野,2009).また中澤・遠藤(2002)および中澤・中里(2005)は,埼玉県(1996)が礫層下限を境界として区分した深度150mまでのA~D層を,堆積サイクルの認定と周囲からの層序の追跡により,上位からA,B層は下総層群大宮層~清川層,C層は上泉層及び藪層,D層は地蔵堂層と対比した.
GS2012-OMY孔では含まれる化石や堆積相に基づき上位から①~⑥の堆積サイクルが認定され,深作A-1孔と比較すると①は大宮層,②は木下層上部,③は清川層,④は上泉層,⑤は藪層,⑥は地蔵堂層に相当する.コアでは47層準で火砕物の濃集層準が見られ,斑晶鉱物及び火山ガラスの屈折率に基づき,既往のテフラと対比を検討した.その結果,本コアではKy3は検出されない一方,表1に示す対比が明らかになった.
SgP.1(鈴木・早川,1990)は下位の細粒テフラがAso-1である可能性があり(矢口1999),上位にAta-Thがあることから下総層群ではKm1テフラ群の層準に相当し,上泉層下部を示すと考えられる.SgP.1に類似する特性を示すテフラは深作A-1孔の深度69.40-69.50mにも確認された.UR1-No.8(中澤・中里,2005)はGoP1(町田ほか,1974)とは屈折率特性の異なるカミングトン閃石に富む特徴をもち、米岡ほか(2023)により大宮台地北西部のボーリングコアからも報告されていることから,関東平野中央部の藪層の指標テフラとして重要である.
これらのテフラの認定により,従来よりも上泉層と藪層の層位が明確となり、関東平野中央部における下総層群の層序区分の精度向上に資することが期待される。
文献 本郷・水野(2009)地質調査研究報告,60,559-579;町田ほか(1974)地学雑誌,83,302-338;中澤・遠藤(2002)大宮地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),産総研地質調査総合センター;中澤・中里(2005)地質学雑誌,111,87–93;埼玉県(1996)埼玉県活断層調査報告書,200p;鈴木・早川(1990)第四紀研究,29,105–120;矢口(1999)群馬県埋蔵文化財調査事業団研究紀要,16,61–90.;米岡ほか(2023)日本地質学会第130年学術大会講演要旨,T16-O-3;米岡ほか(2024)地質学雑誌,印刷中;吉見ほか(2014)地質調査総合センター速報,no.66,185–205
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