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[T8-O-2]Three-dimensional Urban Geological Map: Stratigraphy and geologic structure of the Pleistocene Shimosa Group in the southeastern part of Saitama Prefecture

*Keiya YONEOKA1, Tsutomu NAKAZAWA1, Susumu NONOGAKI1, Kentaro SAKATA1, Hiroomi NAKASATO1 (1. GSJ, AIST)
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Keywords:

Urban Geological Map,Shimosa Group,Saitama Prefecture,Pleistocene

「都市域の地質地盤図(3次元地質地盤図)」は,産総研が独自に実施したボーリング調査のデータを基準とし,自治体などが公開する公共工事などの大量のボーリングデータを用いて地層の広域な対比を行い,コンピュータ解析により地層の3次元的な分布を表したものである.地下地質をweb上で3次元的に表現することにより,利用者はより直感的に地下の地質状況を理解することができる.産総研では経済産業省の知的基盤整備計画に基づき,2018年には「千葉県北部地域」,2021年には「東京都区部」の3次元地質地盤図を公開した[1].現在は「埼玉県南東部」の公開に向けた準備をしている.本発表では,3次元地質地盤図作成の調査・解析により明らかになった埼玉県南東部の更新統下総層群の層序と地質構造について紹介する.
 埼玉県南東部の下総層群(MIS 12〜5c)は下位より地蔵堂層,薮層,上泉層,清川層,木下層,大宮層に区分される.下総層群の各層は,調査地域の北部では,西側の北本市周辺で基底面標高が大きく,東側の白岡市〜久喜市周辺で標高が小さくなる傾向が認められた.また下位の地層ほどその標高差が大きいことから,この構造運動は累積的であると考えられる.特に北本市付近の相対的な隆起は顕著で,木下層(MIS 5e)はその上位の大宮層(MIS 5c)基底の侵食により完全に欠如している.一方,南部では東西の標高差は明瞭ではなく,むしろ全体として南側に標高が大きくなる傾向が認められる.
 木下層下部は谷埋め状の局所的な分布を示す.木下層下部の主体は軟弱な泥層であり,N値は5以下を示すことが多い.木下層下部は桶川市から大宮台地の西縁に沿って南東方向へ谷埋め状に分布し,また規模は小さいが見沼区新堤付近から南東方向へ同様に谷埋め状の分布が認められる.大宮台地の地下に木下層下部の谷埋め堆積物が分布することは中澤・遠藤(2002)や中澤ほか(2006)で既に示されているが,今回大量のボーリングデータの解析により,その詳細な3次元分布を示すことができた.
 埼玉県南東部の3次元地質地盤図では,広域に地質の分布を可視化し,構造運動や埋没谷地形を正確に3次元で表現することができた.複雑な地質や軟弱な地質の分布を正確に理解することは,地下水利用,地質汚染調査や災害リスク評価の観点からも重要である.「都市域の地質地盤図」では,これらを正しく理解することが可能となる.

[1] 都市域の地質地盤図,URL: https://gbank.gsj.jp/urbangeol/

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