Presentation Information
[T8-O-5][Invited] Nexus of Urban Area, Geology, and Water: A Case Study of the Changes in Groundwater Environment in Tokyo
*Takeshi HAYASHI1 (1. Faculty of Education and Human Studies, Akita University)
Keywords:
urban area,water cycle,groundwater
日本では2014 年に水循環基本法が施行され,2015 年に水循環基本計画が策定された.この水循環基本計画では,流域単位での総合的・一体的な管理を基本として,健全な水循環の維持・回復の積極的な推進,持続可能な地下水の保全と利用の推進等が掲げられている.また,2018年に閣議決定された第5次環境基本計画においても,重点戦略の1つとして,環境リスク評価の観点から健全で豊かな水環境の維持・回復や化学物質のライフサイクル全体での包括的管理が掲げられている.しかし,日本各地において都市への人口集中が進行し,都市化の過程における多様な人間活動によって地表・地下の水循環機構が大きく改変されるとともに,生活排水や工場からの汚染物質の付加等によって地表水・地下水が汚染されてきた.このため,都市において水循環基本計画や環境基本計画の掲げる健全な水循環を実現し,またレジリエントで持続可能な都市を構築するためには,都市の水環境,特に地下水にかかわる環境の実態を適切に把握することが不可欠である.地下での水のあり方や挙動は地表の水とは大きく異なっており,これらには地質が大きくかかわっている.すなわち,地質は地下水のあり方や挙動を規制する存在である.その一方で,地下水の挙動は長い時間をかけて地層の状態を少しずつ変化させる.このため地質学的な時間スケールにおいては,地質と地下水は相互的な関係にある.他方,都市での多様な人間活動は地質と地下水の相互関係に対して,様々な影響をはるかに短い時間スケールで与えうる.
本発表では,日本最大の都市域である首都圏の東京および周辺地域(武蔵野台地,荒川低地,東京低地)に着目し,地下水環境,特に地下水の流動機構や化学性状の変遷を概観しながら,都市,地質,水のネクサスを考察する.地下水の流動については,台地上に湧水や河川を形成する地下水(不圧地下水)と,より地下深くにあって各種用水の水源として開発・利用されてきた地下水(被圧地下水)について,地下水の涵養源や流動機構の変遷,地盤沈下とのかかわり等を考察する.例として,都市化が進行しても存在し続ける湧水は“変わっていない”といえるのか?被圧地下水はどこに流出するのか?等をとりあげる.地下水の化学性状については,都市化に伴う土地利用の改変や人間社会のあり方の変化,さらに地下空間の開発や地盤沈下等が,不圧地下水や被圧地下水の化学性状にどのような影響をもたらしてきたか,また現在にみられる化学性状をどのように考えるべきか,さらに防災対策としての地下水利用の課題等について考察する.
本発表では,日本最大の都市域である首都圏の東京および周辺地域(武蔵野台地,荒川低地,東京低地)に着目し,地下水環境,特に地下水の流動機構や化学性状の変遷を概観しながら,都市,地質,水のネクサスを考察する.地下水の流動については,台地上に湧水や河川を形成する地下水(不圧地下水)と,より地下深くにあって各種用水の水源として開発・利用されてきた地下水(被圧地下水)について,地下水の涵養源や流動機構の変遷,地盤沈下とのかかわり等を考察する.例として,都市化が進行しても存在し続ける湧水は“変わっていない”といえるのか?被圧地下水はどこに流出するのか?等をとりあげる.地下水の化学性状については,都市化に伴う土地利用の改変や人間社会のあり方の変化,さらに地下空間の開発や地盤沈下等が,不圧地下水や被圧地下水の化学性状にどのような影響をもたらしてきたか,また現在にみられる化学性状をどのように考えるべきか,さらに防災対策としての地下水利用の課題等について考察する.
Comment
To browse or post comments, you must log in.Log in