Presentation Information
[T12-O-4]Petro-graphical features described in horizontal and vertical directions in submarine lava flows off Atagawa, Sagami Bay, Japan. 1: Its morphological change and flow mechanism.
*Izumi Sakamoto1, Ibuki Hoshino1, Yuka Yokoyama1 (1. Tokai Univ.)
Keywords:
submarine lava flow,Sagami bay,Izu-Oshima Is.
伊豆半島東部沖海域は,複雑な凹凸地形が発達している.伊豆大島北西端乳ヶ崎沖には,北西-南東方向に発達した乳ヶ崎海脚および、その南西に海脚に平行な谷(長さ約10km,幅約3-5km)に渡り存在している.また,伊豆半島東側門脇岬沖には,1000m/5000mの急斜面が発達している.一方,相模灘の水深1000m-1400mの海底地形は,比較的なだらか(300m/10km:東傾斜)な地形が発達している.葉室他(1980)は,伊豆半島-伊豆大島間に存在する東伊豆沖海底火山群を,岩石学的に天城系列と伊豆大島のソレアイト系列に区別し、中間組成が無いことを明らかにした. 本研究対象としている熱川沖海底溶岩流は,伊豆大島北西端に位置する乳ヶ崎海脚(北西-南東方向)に平行に発達する谷状凹地内(水深600m付近に端を発す)を,伊豆半島に向け(北西方向)流動し,門脇岬沖(水深1000m付近)で流動方向を90度曲げ北東方向の相模灘に向け流動している.サイドスキャンソナー記録から,大島〜門脇岬間で約10km,門脇岬沖〜相模灘間で約10kmの合計約20kmの距離を海底で流動したと推定される.1985年から1997年までに計13回の“しんかい2000”による潜航調査が実施された(例えば宇井他,1988,仲・堀田,1990,Sakamoto et al., 1997等).これらをまとめると,1)海底溶岩流中流部では表面に縄状構造・コルゲーション構造が発達したシートフローが観察された.さらにプレッシャーリッジの割れ目から,溶岩内部を観察したところ,複数枚重なる溶岩流が確認された.2)海底溶岩流はその下流部(相模灘)において,10-20cmサイズの角礫状砕屑物や,枕状溶岩が多く確認された.3)中流部・下流部とも溶岩縁辺部では角礫状砕屑物が形成されている.4)中流部および先端部の岩石は,伊豆大島と同じ岩石化学組成である.5)溶岩マージンが冷却をブロックし,内部のメルトが流動する事で,海底を20kmもの長距離を流れる溶岩の流動メカニズムを推定した. 1997年に現JOGMECのBMS初号機を用いた掘削が,本溶岩下流部で行われ,約1.8mの鉛直方向の岩石コアを取得に成功した.それから10年後の2017年にはJAMSTECのBMSによる溶岩中流部で行われ約6mの岩石コアを採取する事に成功している.これら柱状岩石コア試料の肉眼観察での特徴は,1)頂部0-25cmはガラス質急冷相であり,25-50cmは灰色塊状溶岩相で,43-63cmは黒色ガラス質急冷相が発達している.63-74cmは塊状岩相であり,74-83cmは破砕岩相であった.90-170cmは塊状溶岩相,170-169cmは破砕相,180-200cmは塊状溶岩相,200-216cmは破砕岩相,216-265cmは塊状溶岩相,265-270cmは破砕岩相,260-385cm(以深)は塊状溶岩相である.2)塊状溶岩相には,脈状気泡列(0.5-1.0mmの気泡の配列, 1.5-2.0cm毎)が観察される.脈状気泡列は流理構造と考えられる.流動メカニズム:これまでに得られた海底イメージ画像・有人潜水船での観察および採取試料・着座型海底ボーリング試料の記載を総合し,以下の様に海底での流動メカニズムを推定した.1)割れ目状噴火により,メルトが海底に流出.メルトが海水に接することで,表面に小さな節理およびガラス質急冷周縁相の形成. 2)さらに溶岩内部にメルトが供給され,固化しつつある急冷周縁相において内部膨張に伴うことで,破砕化が進んで行く.一部は枕状溶岩様に,内部メルトが外部急冷相を割って表面に露出することで,自らの縁辺部に急冷相を形成していく.3)度重なる溶岩メルトの供給により内部は膨張し,外側に形成された急冷相は固化することで独立した岩片となり,溶岩の周縁部に重なり形成される.これらの岩片の重なりは,プレッシャーリッジに発達した割れ目からも観察され,水中火砕岩を周囲に形成していく.海底という環境下では,急速に冷却固化してしまう溶岩に対し,周囲に形成されるより細粒な水中火砕岩で内部方向に固化から妨げる.このため溶岩周縁部に幾重にも重なる溶岩ブロックを形成する事で,溶岩トンネル状に流動する事で長距離移動が可能になったと推定される.引用文献:葉室他 (1983) 震研彙報, 58, 527-557.仲二郎・堀田宏 (1990) 第6回「しんかい2000」研究シンポジウム報告書, 277-284.宇井他(1988) 第4回「しんかい2000」研究シンポジウム報告書, 149-156.Sakamoto, I. et al., (1997) IAVCEI assembly (Mexico), 11.
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