Presentation Information
[T15-O-10]Sedimentary age of the basal layer of the Miura Group in the northern Miura Peninsula, Kanagawa Prefecture - U-Pb ages of zircons in tuffaceous rocks
*Daiji HIRATA1, Souta Niki2, Takafumi Hirata3 (1. Kanagawa Prefectural Museum of Natural History, 2. Institute for Space-Earth Environmental Research, Nagoya University, 3. Geochemical Research Centre, The University of Tokyo)
Keywords:
Miura Penisula,Miura Group,Forarc basin sediments,U-Pb age of zircon
【背景と目的】南関東の三浦・房総半島の北部に分布する中新統三浦層群は,前弧海盆堆積物と解釈されている。その堆積年代については、房総半島では露頭状況と地層の連続性の良さもあり、微化石や古地磁気および火山灰鍵層年代測定などの詳細な研究により確立されてきた(新妻,1976;Oda, 1977; Kasuya, 1987;Takahashi & Danhara, 1997など)。一方、三浦半島でも微化石や火山灰鍵層などによる堆積年代についての研究が行われてはきたが(Kasuya, 1987;江藤ほか, 1987;蟹江ほか, 1991など)、微化石の産出状況や露頭状況の悪さにより、年代については不明瞭な部分が残されている。なかでも、三浦層群とその下位の中部中新統葉山層群との不整合関係(田越川不整合)は、南関東の新第三紀の地質構造発達史を考えるうえで重要なものであるとされてきた(渡辺, 1925;Shikama, 1973;平田ほか, 2012)が、その形成年代については不明確であった。本研究では、三浦半島北部に分布する三浦層群基底層に挟在する凝灰質岩層中のジルコン粒子のU-Pb年代測定により堆積年代を明確にするとともに、田越川不整合の形成年代を推定する。このことは、三浦・房総半島における新第三紀の地質構造発達史解明に束縛条件を与える。
【方法と結果】三浦半島北部に分布する三浦層群基底層から、Shikama(1973)および平田ほか(2012)に記載された田越川不整合直上となる6地点で採集した凝灰質岩中のジルコン粒子について、LA-ICP-MS法によるU-Pb年代測定を行った.ジルコンの分離と分析用マウント作成は、(株)京都フィッショントラックに依頼した。U-Pb年代測定は、東京大学大学院地殻化学実験施設の高速多点フェムト秒レーザーアブレ–ション装置と多重検出方式の磁場型ICP質量分析計を備えた装置で行った。なお、逗子市桜山と逗子市南郷については、平田(2021)にて報告した。試料採集地点とU-Pb年代測定結果概要は、次のとおりである。①逗子市桜山: 6.18±0.07 Ma ②逗子市南郷:6.40±0.09 Ma ③横須賀市田浦大作町(沼間トンネル内):6.34±0.13 Ma ④横須賀市佐原:6.29±0.45Ma ⑤葉山町小磯:6.40±0.15Ma ⑥葉山町上山口: 10~20 Maと60~80 Maにピークが認められるが最若粒子は7Maである。
【考察】三浦層群基底層に含まれる凝灰質岩中のジルコン粒子のU-Pb年代測定結果は、①~⑤地点では6.4~6.2Maであった。なお⑥地点は年代測定結果にバラツキがあるが、最若年代が7Maであることは、堆積年代がそれよりも若い年代であることを示す。これらの結果から、三浦半島北部の三浦層群基底層の堆積は7~6.5Ma頃に始まったと考えられる。なお、これらの年代は三浦層群基底層の上位に重なる三浦層群逗子層の石灰質ナンノ化石から推定されたCN9帯(8.3~5.6 Ma)とも矛盾しない。また、田越川不整合の形成は、下位の葉山層群上部層の堆積年代が約15Ma(鈴木, 2012)であることから、15Maから7Maの間と推定される。一方、房総半島北部に分布する三浦層群基底部の年代が約15Ma(Takahashi & Danhara, 1997)であることから、三浦半島と房総半島では三浦層群の堆積開始時期に900万年程度の差があったことを強く示唆する。これらのことは、南関東における前弧海盆の地質構造発達史に重要な制約を与える。
【引用文献】江藤哲人ほか(1987)横浜国立大学理科紀要,第Ⅱ類, (34), 41–57. 平田大二(2021)横浜国立大学大学院環境情報学府、博士論文.平田大二ほか(2012)神奈川県立博物館調査研究報告(自然科学), (14), 103–116. 蟹江康光ほか(1991)地質学雑誌, 97, 135–155. Kasuya, M. (1987) Sci. Repts. Tohoku Univ., 2nd ser., (Geol.), 58, 93–106. 新妻信明(1976)地質学雑誌, 82, 163–181. Oda, M. (1977) Sci. Repts. Tohoku Univ., 2nd ser., (Geol.), 48, 1–72. Shikama, T. (1973) Sci. Repts. Tohoku Univ., 2nd ser., (Geol.), Spe. Vol. 6 (Hatai Memorial Volume),179–204, 鈴木 進(2012)神奈川県立博物館調査研究報告(自然科学), (14), 65–74. Takahashi, M. & Danhara, T. (1997) Jour. Geomag. Geoelectr., 49, 89–99. 渡辺久吉(1925)地学雑誌, 37, 439–501, 584–595.
【方法と結果】三浦半島北部に分布する三浦層群基底層から、Shikama(1973)および平田ほか(2012)に記載された田越川不整合直上となる6地点で採集した凝灰質岩中のジルコン粒子について、LA-ICP-MS法によるU-Pb年代測定を行った.ジルコンの分離と分析用マウント作成は、(株)京都フィッショントラックに依頼した。U-Pb年代測定は、東京大学大学院地殻化学実験施設の高速多点フェムト秒レーザーアブレ–ション装置と多重検出方式の磁場型ICP質量分析計を備えた装置で行った。なお、逗子市桜山と逗子市南郷については、平田(2021)にて報告した。試料採集地点とU-Pb年代測定結果概要は、次のとおりである。①逗子市桜山: 6.18±0.07 Ma ②逗子市南郷:6.40±0.09 Ma ③横須賀市田浦大作町(沼間トンネル内):6.34±0.13 Ma ④横須賀市佐原:6.29±0.45Ma ⑤葉山町小磯:6.40±0.15Ma ⑥葉山町上山口: 10~20 Maと60~80 Maにピークが認められるが最若粒子は7Maである。
【考察】三浦層群基底層に含まれる凝灰質岩中のジルコン粒子のU-Pb年代測定結果は、①~⑤地点では6.4~6.2Maであった。なお⑥地点は年代測定結果にバラツキがあるが、最若年代が7Maであることは、堆積年代がそれよりも若い年代であることを示す。これらの結果から、三浦半島北部の三浦層群基底層の堆積は7~6.5Ma頃に始まったと考えられる。なお、これらの年代は三浦層群基底層の上位に重なる三浦層群逗子層の石灰質ナンノ化石から推定されたCN9帯(8.3~5.6 Ma)とも矛盾しない。また、田越川不整合の形成は、下位の葉山層群上部層の堆積年代が約15Ma(鈴木, 2012)であることから、15Maから7Maの間と推定される。一方、房総半島北部に分布する三浦層群基底部の年代が約15Ma(Takahashi & Danhara, 1997)であることから、三浦半島と房総半島では三浦層群の堆積開始時期に900万年程度の差があったことを強く示唆する。これらのことは、南関東における前弧海盆の地質構造発達史に重要な制約を与える。
【引用文献】江藤哲人ほか(1987)横浜国立大学理科紀要,第Ⅱ類, (34), 41–57. 平田大二(2021)横浜国立大学大学院環境情報学府、博士論文.平田大二ほか(2012)神奈川県立博物館調査研究報告(自然科学), (14), 103–116. 蟹江康光ほか(1991)地質学雑誌, 97, 135–155. Kasuya, M. (1987) Sci. Repts. Tohoku Univ., 2nd ser., (Geol.), 58, 93–106. 新妻信明(1976)地質学雑誌, 82, 163–181. Oda, M. (1977) Sci. Repts. Tohoku Univ., 2nd ser., (Geol.), 48, 1–72. Shikama, T. (1973) Sci. Repts. Tohoku Univ., 2nd ser., (Geol.), Spe. Vol. 6 (Hatai Memorial Volume),179–204, 鈴木 進(2012)神奈川県立博物館調査研究報告(自然科学), (14), 65–74. Takahashi, M. & Danhara, T. (1997) Jour. Geomag. Geoelectr., 49, 89–99. 渡辺久吉(1925)地学雑誌, 37, 439–501, 584–595.
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