Presentation Information
[T15-O-12]Changes in the shape and sedimentary environment of the forearc basin reconstructed from hybrid turbidites
~An example of the Plio-Pleistocene Group, central Japan,~
*Haruki Sone1, Tetsuya Sakai2 (1. Nippon Koei L.T.D, 2. Shimane Univ.)
Keywords:
turbidite,Forearc basin,Outer ridge,cross lamina,plate subduction
静岡県西部鮮新‐更新統掛川層群堀之内層は、前弧海盆を充填したタービダイトであると知られている。北堀・酒井(2013)では、火山灰層を鍵層に同一層準でタービダイトを広域に対比し、時代毎の堆積盆の形状の変化を復元した。北堀・酒井(2013)では、タービダイトの内部構造と砂層と泥層の厚さの変化に着目し、堆積盆の形状の復元を行った。しかし、タービダイトの詳細な形態の分類は行われていない。本研究では堀之内層のタービダイトに対し、古流向・砂泥互層の厚さの分析による堆積場の復元だけでなく、タービダイト内に認められるハイブリッド的な堆積様式を詳細に記載し、堆積場の形状・堆積環境を詳細に復元・検討したものである。本研究では高分解能柱状図を走向線に沿って複数地点で作成、斜交葉理・変形したコンボリュート構造の褶曲軸の方向から古流向・古斜面の傾斜方向を復元し、時代毎での堆積当時の掛川海盆の形状を復元した。調査の結果、堀之内層内で過去報告例の無い以下の堆積構造が認められた。 デブライト砂層に破砕された泥層の円礫が認められた。この泥層の円礫は砂層内に点在するものであり、同一層準で連続的に認められたため、堆積当時の海底地すべりによる堆積物であると考え、デブライトと認定した。 サイスマイト同一層準内で複数の方向へ変形したコンボリュート構造が認められた。このコンボリュート構造の褶曲軸の傾斜方向は、堆積当時の陸側・沖側の両方を示した。この両側方向への変形を示す変形したコンボリュート構造が、堆積当時の陸側斜面で頻繁に認められたため、地震の影響による変形と解釈し、サイスマイトと認定した。 ハイパーピクナイト砂層内に粒度の異なる1~3㎜程度の平行葉理が認められた。また、この平行葉理が分布する砂層は下部から逆級化・級化構造が認められたため、ハイパーピクナイトと認定した。 アンティデューンタービダイトの境界に沖側方向に対して、緩く逆向きに傾斜する構造が認められた。この緩く逆向きに傾く堆積構造は同一層準内で断続的に認められたため、堆積当時の陸側斜面を混濁流が高速で通過・浸食・堆積した際のアンティデューンと認定した。 サイクリックステップ砂層と泥層の境界に当時の沖側方向に対して、階段状に緩く傾斜する構造が認められた。この階段状の構造は1~3m程度の周期で認められ、階段状に急傾斜する砂層と泥層の境界では、階段状の構造を地形に沿って充填する平行葉理が認められたため、サイクリックステップと解釈した。上記の記載と走向傾斜の変化から掛川海盆の形状・堆積環境の変遷を以下の通り解釈した。ユニット1(3.8~2.97Ma):走向は南北で連続し、古流向も沖向き・陸向きの両方を示す。特に北部では南東~南向きの古流向が卓越し、南部では北東~北向きの古流向が卓越する。中央部では古流向は東を示す。古流向と走向傾斜の変化から、ユニット1では東側にトラフが存在し、混濁流が東に向かって流れていたと考えられる。ユニット2(2.97~2.66Ma):走向線が南部まで連続せず、ユニット2の走向線がユニット1の走向線にオンラップする。古流向と古斜面傾斜方向は沖向きのものが卓越し、タービダイトの内部構造は変形を受けたものと、斜面性のもの(アンティデューン)が北部で多く見られる。走向とタービダイトの内部構造から、ユニット1と比較し、堆積盆の両側の斜面が高角であり、陸側では斜面性の堆積物を堆積させ、沖側では混濁流が斜面を駆け上がることができず、陸向きの流れが生じにくかったと考えられる。ユニット3(2.66~2.5Ma):走向線は南北で連続し、古流向は沖向き・陸向きの両方を示す。堆積盆の形状はユニット2と比較し、沖・陸側斜面の傾斜が緩くなったと考えられる。上記から、掛川海盆ではユニット2(2.97~2.66Ma)の時期に外縁隆起帯が急激に隆起したと考えられる。ユニット1南部の傾斜は、北部と比べ高角となる。これは外縁隆起帯が隆起し、沖側の地層を陸向きに傾斜させたからであると考えられる。また、ユニット2の走向がユニット1にオンラップすることを考慮すると、ユニット1の層準が急激に隆起し、ユニット2を堆積させた混濁流がせき止められ、オンラップを形成したことが推測される。また、ユニット2のタービダイトはオンラップする地域で砂が厚くたまる特徴がある。これは外縁隆起帯の隆起によって、混濁流が沖側斜面を駆け上がることができず、砂を厚く堆積させたためだと考えられる。掛川海盆で外縁隆起帯の隆起が起こったと考えられる2.9~2.66Maはフィリピン海プレートが沈み込みの方向を北から北西へと変化させたとされる3Maの直後であり、この応力方向の変化は、当時の掛川海盆が沖側斜面(東側斜面)を隆起させたことと整合する。今後の課題として、外縁隆起帯の隆起による堆積盆・堆積物への影響を詳細に評価するため、2.97Ma以前のタービダイトと走向傾斜の変化を観察する必要がある。
引用文献:北堀建太・酒井哲弥(2013) 堆積学研究, 72, 159-164.
引用文献:北堀建太・酒井哲弥(2013) 堆積学研究, 72, 159-164.
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